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AWS環境を構築する手順とは?AWSのメリットや注意点を解説

2023.11.20

AWS(Amazon Web Services)は、クラウド上でシステムやアプリ開発を行ったり、システム環境を運営・保守したりする場合に役立つサービスです。

この記事では、AWS環境の構築におけるメリットと注意点を解説し、その手順を紹介します。

企業がAWS環境をスムーズに構築するための参考としてご利用ください。

AWS環境の構築とは?

AWS環境の構築とは、AWSのクラウドリソースを使用して、インターネット上で動作するアプリやサービスのための仮想インフラストラクチャを設定することです。

これには、サーバー(Amazon EC2)、ストレージ(Amazon S3)、データベース(Amazon RDS)などのリソースの選択、設定、そしてこれらを統合して動作させるネットワーク構成の設計が含まれます。

AWSの管理コンソールやCLI(コマンドラインインターフェース)を通じて、必要なサービスを選択し、アプリの要件に応じてカスタマイズします。AWS環境の構築は、高い柔軟性とスケーラビリティを持ち、迅速なデプロイメントと効率的な運用管理が可能です。

AWS環境を構築するメリット6つ

ここでは、AWS環境を構築するメリットを6つご紹介します。

初期費用や運営費用を抑えられる

物理的なサーバーやデータセンターの設置には、高額な初期投資が必要です。AWSでは、必要なリソースをクラウド上で仮想的に構築し、使用する分だけの費用を支払います。

AWSの料金体系は使用したリソースに基づくため、実際に使用する分だけ料金が発生します。そのため、無駄なコストを削減し、運営費用を抑えることが可能です。

また、トラフィックや処理量の変動に応じてリソースを簡単にスケールアップ・ダウンできます。この柔軟性により、必要以上のリソースに対するコストを避け、効率的な運営ができるでしょう。

最先端の技術を利用できる

AWSは、コンピューティング、ストレージ、データベース、機械学習、人工知能、IoTなど、多岐にわたる最新のクラウドサービスを提供しています。ユーザーは最新のテクノロジーを活用して、革新的なソリューションを開発できるでしょう。

AWSは常に新しいサービスを追加し、既存のサービスを改善し続けています。ユーザーはこの進化するプラットフォームを利用することで、最新のクラウド技術に常にアクセスが可能です。

またAWSのインフラストラクチャは、高度にスケーラブルで柔軟性があり、最新のコンピューティングパターンに対応しています。これにより、ユーザーは需要に応じてリソースを迅速に調整し、革新的なアプローチを取れます。

グローバル展開ができる

AWSは世界中に多数のデータセンターを持ち、多くのリージョンでサービスを提供しています。これにより、異なる国や地域にサービスを展開する際に、地理的な近さに基づいた低遅延と高可用性を実現できるでしょう。

AWSのグローバルネットワークを利用すると、各地域に合わせたホームページやWebサイトのローカライゼーションが容易になります。言語や文化的な違いに対応するためのローカルリソースの配置やデータの保存にも関連します。

運用負荷を軽減できる

AWSは多くのフルマネージドサービスを提供しています。これらのサービスを利用すると、サーバーのメンテナンス、パッチ適用、バックアップなどの日々の運用作業から解放され、運用負担が大幅に軽減されるでしょう。

AWSのサービスでは、リソースのスケーリングや監視、アラート通知などを自動化できます。トラフィックの増減に応じて自動的にリソースを調整することで、運用の手間を省きつつ、コストの最適化も図れます。

またAWSは、集中管理を容易にするツールとサービスを提供しています。AWS Management Console、AWS CloudFormationなどのツールを使用することで、複数のサービスを一元的に管理し、運用の効率の向上につながるでしょう。

高いセキュリティを確保している

AWSは物理的セキュリティからネットワーク、アプリレベルのセキュリティまで、包括的な対策を提供します。これにより、データセンターの安全性とデータの保護が強化されます。

また、データの保存中および転送中の暗号化のサポートを受けることが可能です。機密データの安全性が保たれ、外部からの侵入や漏洩リスクが低減されます。

24時間サポートを提供している

AWSは、24時間365日体制でカスタマーサポートを提供しています。時間帯や地域に関係なく、技術的な問題や疑問に対して迅速に対応します。

AWSのサポートチームには、AWSのサービスに関する深い知識を持っている各分野の専門家が在籍しています。複数の言語での対応が可能なので、世界中のさまざまなユーザーが言語の壁を越えてサポートを受けられるでしょう。

AWS環境を構築する際の注意点4つ

ここでは、AWS環境を構築するときの注意点を4つご紹介します。

コストの予測が難しい

AWSは多様なサービスを提供しており、それぞれ異なる料金体系を持っています。サービスの使用量に応じた料金、データ転送のコスト、追加機能の料金などがあり、これらの組み合わせによりコストが変動します。

特に、新しいプロジェクトの場合、トラフィックや使用量を正確に予測するのが難しい場合があります。急激なトラフィックの増加や予期せぬサービスの利用が発生すると、コストが急増する可能性もあるでしょう。

オンプレミスよりも自由度が低い

オンプレミス環境では、ハードウェアからソフトウェアに至るまで全ての要素に対して完全な管理と制御が可能です。しかし、AWSのようなクラウド環境では、インフラストラクチャの多くがAWSによって管理されているため、同等の制御レベルを得ることは難しい場合があります。

オンプレミス環境では、企業独自のセキュリティ基準やコンプライアンス要件に基づいてシステムの設計が可能です。一方、AWSではAWSのセキュリティ基準とポリシーに従う必要があります。

サービスの種類が多い

AWSはコンピューティング、ストレージ、データベース、分析、機械学習など200以上のサービスを提供しています。これらの多様な選択肢は、特にAWSに不慣れなユーザーにとって、どのサービスを選択し、どう組み合わせるべきかを判断する際に、混乱してしまうケースがあるでしょう。

各サービスは異なる機能と料金体系を持っており、プロジェクトのニーズに最適なサービスを選ぶことは簡単ではありません。間違ったサービスを選択すると、コストやパフォーマンスに影響を及ぼす恐れがあります。

ダウンタイム管理が難しい

AWSでは、サービスのメンテナンスやアップデートが定期的に行われます。これらの作業はAWSによってスケジュールされ、ユーザーはメンテナンスのタイミングを直接コントロールすることができません。

クラウドサービスプロバイダーであるAWSも、ハードウェアの故障やソフトウェアのバグなどによる予期せぬダウンタイムが発生するケースがあります。これらの状況は、ユーザー側で予見やコントロールが困難です。

AWS環境をセットアップする手順

ここでは、AWS環境をセットアップする手順を4ステップに分けてご紹介します。

参考元:AWS環境のセットアップ

1.AWSアカウントの作成

AWSの公式サイトにアクセスし、AWSアカウントを作成する必要があります。アカウントを作成する際、メールアドレスやアカウント名を入力します。メールアドレス宛に確認コードが届くので、検証ボタンをクリックして進めていきましょう。

法人が利用する場合は「ビジネス-職場、学校、組織向け」、個人が利用する場合は「個人-ご自身のプロジェクト向け」を選びます。フルネーム、会社名、電話番号、国または地域コード、住所を入力します。

AWSカスタマーアグリーメント(利用規約)に同意の上、チェックボックスをクリックし、「続行」ボタンをクリックしましょう。

請求情報の登録では、クレジットカードまたはデビットカード情報の入力が必要です。無料利用枠内の利用に対しては料金が発生しませんが、枠を超えたときにスムーズに請求できるよう、支払い情報を事前に登録する必要があります。

本人確認をSMSまたは電話で行ったあと、AWSのサポートプランを選んでアカウント作成が完了します。現時点で有償のサポートを必要としていない場合は、「ベーシックサポート」を選択しましょう。

2.ユーザーの設定

アカウントを作成したら、ルートユーザーの認証情報を安全に保つために、ルートユーザーのサインインで多要素認証(MFA)を有効にします。MFAを有効にすると、ルートユーザーのメールアドレスとパスワードを入力するだけでなく、別の認証システムからの認証情報も使用することとなります。

また、IAMアイデンティティセンターでユーザーを設定しましょう。IAMアイデンティティセンターを使用するのは、セッションごとの一意の認証情報をユーザーに提供するためです。

IAMアイデンティティセンターを利用することで、異なるユーザーやチームがAWSリソースにアクセスする際の権限を細かく制御できるようになります。各ユーザーには特定のアクセス権限を割り当て、セキュリティの強化が可能です。

3.AWS CLIのセットアップ

AWS Command Line Interface(CLI)は、コマンドラインからAWSサービスを管理するためのツールです。

インストールには、AWSの公式Webサイトから適切なバージョンのCLIをダウンロードし、インストールプロセスに従います。

設定には、アクセスキーIDとシークレットアクセスキーの入力が必要で、これによりCLIからAWSリソースを管理できます。

4.AWS Cloud9統合開発環境(IDE)のセットアップ

AWS Cloud9は、クラウドベースの統合開発環境です。IDEを設定することで、ブラウザから直接コードを書いたり、デバッグ、実行ができます。

Cloud9はAWSの他のサービスと簡単に統合でき、開発環境の構築と管理を容易にします。

まとめ

AWS環境の構築とは、Amazon Web Servicesのクラウドリソースを用いて、アプリやサービスのためのインフラストラクチャを設定するプロセスです。

構築のメリットには、初期・運営費用の削減、最先端技術の利用、グローバル展開の可能性、運用負荷の軽減、高いセキュリティ、24時間サポートの提供などがあります。

しかし、注意点として、コスト予測の難しさ、オンプレミス環境に比べた自由度の低さ、多数のサービス選択、予測不能なダウンタイムの可能性があります。

AWS環境の構築手順には、AWSアカウントの作成、ユーザーの設定、AWS CLIのセットアップ、AWS Cloud9 IDEの設定が含まれます。

AWS環境の構築を検討している企業は、メリットや注意点のほかに、構築を進める手順も把握しておきましょう。