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システム開発における品質管理とは?ポイントや手法を解説

2023.08.16

システム開発では、品質管理が重要なのをご存じでしょうか。

品質管理を怠ってしまうと、理想のシステムがつくれなかったり、顧客満足度に影響してしまったりする恐れがあります。

そこで本記事では、システム開発における品質管理について、目的や工程、管理を行う際のポイントをご紹介します。

そのほか、システム開発の品質管理の手法もお伝えするので、品質管理のやり方を知りたい方もぜひ参考にしてください。

システム開発における品質管理とは?

システム開発における品質管理とは?

システム開発における品質管理とは、開発プロセス全体で品質を確保するための取り組みのことです。

要求を明確にし、設計や開発、テストの各工程で品質を評価・改善します。関連部署との連携や各工程ごとのチェックを通じて品質を管理することで、品質目標を達成できるでしょう。

なぜ品質管理を行わなければいけないのか、具体的にどのようなことをすべきかを知るために、ここではシステム開発における品質管理の目的や工程をご紹介します。

品質管理の目的

品質管理の目的は、品質確保や基準達成、セキュリティと信頼性の確保、パフォーマンスと効率性の最適化、変更管理とバグ修正のプロセス確立、長期的なメンテナンスの容易化などがあります。

品質確保と基準達成とは、開発されるシステムの品質を確保し、高い品質基準を満たすことです。システムが要件を満たし、顧客や利害関係者の期待に応えることを重視します。

セキュリティと信頼性の確保とは、システムのセキュリティと信頼性を保証することで、セキュリティテストや脆弱性評価を通じて、機密性や可用性などのセキュリティ要件を満たし、信頼性の高い運用が可能であることを保証します。

パフォーマンスと効率性の最適化とは、システムのパフォーマンスと効率性を最適化することです。性能テストや負荷テストにより、システムが適切な応答時間や処理能力を持ち、効率的に動作することを確認できます。

また変更管理とバグ修正のプロセスを確立することで、システムの品質への負の影響を最小限に抑えられるでしょう。適切なテスト手法やバグトラッキングシステムを使用し、品質に関連する問題点を特定して解決します。

長期的なメンテナンスの容易化では、適切なドキュメンテーションやソースコードの管理を行い、将来の変更や保守作業を効率的に行える状態を維持します。

品質管理の工程

システム開発における品質管理の工程は、以下の通りです。

  1. リスク管理
  2. 要件管理
  3. 設計と開発の品質
  4. ユーザーエクスペリエンスとユーザビリティ
  5. セキュリティとプライバシー
  6. テストと品質保証
  7. ドキュメンテーションとトレーニング
  8. 変更管理とバージョン管理

リスク管理では、主にリスクの特定と評価を行います。リスク軽減策を立案してそれを実施しながら、リスクの監視と報告を行うことが重要です。

要件管理では、要件の明確化と文書化を行います。具体的には、要件の優先順位を決めて管理したり、変更要求の管理・制御を行ったりします。

設計と開発の品質では、主にソフトウェアアーキテクチャの構築を行います。具体的には、クリーンコードの作成とコーディング規約の遵守、ユニットテストと統合テストの実施などさまざまです。

ユーザーエクスペリエンスとユーザビリティでは、ユーザビリティテストとユーザーフィードバックの収集を行います。インタラクションデザインやユーザーインターフェースを改善しながら、パフォーマンスと応答性の最適化を行っていくことが重要です。

セキュリティとプライバシーでは、セキュリティ評価や脆弱性テストを実施します。アクセス制御とデータ保護の実装、プライバシー規制への準拠と個人情報の適切な管理などを行います。

テストと品質保証は、機能テストと統合テストの計画・実施を行う工程です。具体的には、パフォーマンステストや負荷テストを実施したり、バグトラッキングと修正の管理を行ったりします。

ドキュメンテーションとトレーニングは、主にソフトウェアドキュメントの作成・保守を行う工程です。ユーザーマニュアルとトレーニング資料の提供、サポートチームへの情報提供・トレーニングなどを行います。

変更管理とバージョン管理では、変更要求の評価と承認プロセスの確立を行います。バージョン管理システムの使用と変更履歴の管理、バックアップと復元戦略の確立などを実施します。

システム開発の品質管理を行う際のポイント

システム開発の品質管理を行う際のポイント

システム開発自体をはじめて行う方は、品質管理を行う際のポイントを事前に確認しておきましょう。

ここでは、システム開発における品質管理を行う際のポイントを4つご紹介します。

品質指標値や品質基準を明確にする

品質指標値や品質基準を定義することで、開発チームは何を達成すべきかを明確に理解できます。これにより、開発の方向性や目標を明確にでき、結果としてプロジェクト全体の効率性が向上するでしょう。

品質指標値や基準は、開発チーム内部や関係者間でのコミュニケーションを円滑にします。定量的な指標や基準を共有することで、期待する品質レベルについての誤解を避け、コミュニケーションの不一致の減少につながります。

また品質指標値や基準を明確にすると、開発プロセスや成果物の品質を評価する基盤が提供されるでしょう。これにより、定期的な評価を通じて問題点や改善の余地を特定し、品質向上への取り組みを実現できます。

品質基準を設定してからシステム開発に取り組むことで、品質が基準を下回った場合に早期検知ができるでしょう。問題を迅速に修正するためのアクションを取ることができ、後の段階での大規模な修正やリスクの軽減が可能です。

要求を網羅できているか確認する

システム開発における品質管理では、要求を網羅的にカバーすることが重要です。

要求を網羅するためには、要件を明確にして文書化することがポイントです。要件は、機能要件や非機能要件に分類され、詳細かつ具体的に記載する必要があります。

要求を網羅的にカバーするために、優先順位をつけましょう。要件の重要度や影響度を評価し、優先順位を決定することで、開発のリソースとスケジュールの最適化につながります。

また要求の追跡と管理を行うと、要求が適切に実装されているかを確認します。各要件が設計、開発、テストの過程で適切に扱われるかを監視するには、要件トレーサビリティマトリックスや要件管理ツールを活用すると良いでしょう。

関連部署と連携をとる

システム開発における品質管理では、関連部署との連携が重要です。

関連部署との連携は、要件定義の段階から必要です。関連部署との意見交換やフィードバックを通じて、システムの目的や要件を明確にし、関連部署のニーズや制約を把握します。これにより、システム開発の方向性を調整し、要件の矛盾や衝突を回避します。

関連部署との定期的なコミュニケーションを確保することで、システム開発の進捗や重要な変更について情報を共有できます。共有された情報は、品質管理における意思決定や改善活動に活用できるでしょう。

また関連部署との連携は、テストと検証の段階でも重要です。関連部署からのテストケースやシナリオの提供や実施・結果の共有を行い、システムの品質を向上させるためのテスト活動を実施します。

関連部署との協議を通じて、変更の影響やリスクを評価して適切な承認やリリース手順の確立につながります。これにより、システムの安定性と品質を維持しながら変更の管理が可能です。

各工程ごとにチェックする

システム開発では、プロセスの各工程で品質を確認し、問題を早期に発見・修正することが重要です。

要件定義の段階では、顧客の要求事項を正確かつ網羅的に捉えることがポイントです。要件が明確であり矛盾や不足がないかをチェックすると同時に、顧客とのコミュニケーションを通じて要件の正確性を確認して誤解や認識のずれを防ぎましょう。

システム設計の段階では、システムの正確性、効率性、拡張性、保守性などの品質属性をチェックします。設計の妥当性を評価し、要件を適切に満たしているかどうかを確認しましょう。

ソフトウェアの実装段階では、コーディングスタンダードやベストプラクティスに従ってコードを作成します。コードレビューや静的解析ツールを使用してコードの品質をチェックし、コーディングエラーやバグの発見、コーディングスタイルの一貫性を確認します。

システムのテスト段階は、テスト計画、テストケースの作成、テストの実施、結果の評価を行い、品質を確保することが目的です。テスト結果の分析と修正が行われる際、問題が解決されるまで繰り返されます。

システムの展開と運用の段階では、インストールや設定手順の確認、システムの正常動作の確認を行います。運用中には、システムのモニタリングとトラブルシューティングが行われ品質の維持が図られます。

品質が保証されているか把握する

品質管理活動の結果を評価して、システムの品質が適切に保証されているかを確認することが重要です。

品質を評価するためには、明確な品質基準と評価方法を定義する必要があります。品質基準はシステムが満たすべき要件や期待される性能、信頼性、セキュリティなどの要素を明確に示し、評価方法は品質基準に基づいてシステムを評価するための手法や指標を定めます。

また品質評価の結果から特定された問題や欠陥に対して、適切な修正や改善措置を行わなければいけません。問題の重要度や影響度を評価して優先順位付けを行うことで、品質改善の方向性の決定につながるでしょう。

品質管理の結果として、品質に関する文書や報告書を作成します。品質評価の結果や問題の修正状況、改善措置の提案などを記録し、関係者に対して報告しましょう。品質管理の進捗状況や結果を可視化でき、関係者との共有や意思決定に活用できます。

システム開発の品質管理の手法

システム開発の品質管理の手法

システム開発における品質管理は、開発方法によって手法が異なります。

ここでは、ウォーターフォールシステムとアジャイルシステムの品質管理の手法をご紹介します。

ウォーターフォールシステムの場合

ウォーターフォールシステムは、要件定義、設計、開発、テスト、展開という順序で工程を進め、直線的な進行方式が特徴です。各工程は次の工程に移る前に完了する必要があります。プロジェクトの全体像が明確になりやすく、正確な要件と品質管理が求められますが、柔軟性や迅速な変更への対応が制限されてしまうケースがあります。

ウォーターフォールシステムの開発では、主にテスト工程で品質管理が行われます。すなわち、開発の各段階が完了するまでバグ修正は行われません。

アジャイルシステムの場合

アジャイルシステムは、要件と解決策を協力的に探求し、短い期間のイテレーションで開発を進める開発手法です。早期の成果物や顧客の優先順位に基づいて進行し、品質管理と改善が継続的に行われるため、コミュニケーションと協力が重要です。

まずは、要件定義で目標やリソースなどを決定するとともに、品質基準も設定します。次に行う基本設計でも、品質管理に関するタスクが含まれています。

タスクを実施する際、途中で品質を確認するのが特徴です。ミスや漏れがあればその場で対処できるので、テスト段階で大きなミスに気づくという事態を避けられるでしょう。

システム開発の品質管理で役立つ資格5選

システム開発を行う際、資格を取得しておけば品質管理に関する知識を身につけておけます。知識が十分に培っていると、品質管理の抜け漏れやミスなどを未然に防げる可能性があります。

ここでは、システム開発における品質管理に役立つ資格を5つご紹介します。

品質管理検定(QC検定)

品質管理検定(QC検定)は、製造業やサービス業などで品質管理のスキルや知識を評価し認定するための資格試験です。製品やサービスの品質を向上させるために重要な基準や手法を学び、実践的な能力を持つことを証明できます。

品質管理検定は、品質管理の専門的なスキルを持つ人材を育成する際に利用されることが多いです。開発チームのメンバーが受験することで、品質管理の専門家を増やし組織全体での品質改善活動を推進します。

また品質管理検定は、国際的な品質管理の標準やベストプラクティスに基づいて行われることが多いです。受験者はこれらの標準を学び、組織が国際的な品質基準を満たすための手段として活用できます。

R-Map実践技術者認定制度

R-Map実践技術者認定制度は、情報セキュリティ分野におけるスキルや知識を評価し認定するためのプログラムです。R-Mapは「Real-World Security Risk Management Capability Maturity Model」の略称であり、実世界のセキュリティリスク管理能力成熟度モデルを指します。

R-Map実践技術者認定制度は、情報セキュリティの専門家やプロフェッショナルが実際のセキュリティリスク管理のスキルを習得し、実務で適切に活用できることを証明できます。

また基本から応用、エキスパートまでの階層的な認定が用意されています。幅広いレベルのセキュリティプロフェッショナルに対応しており、リスク管理のプロセス全般をカバーしながらリスク評価から対策計画の策定、実施、評価まで学べるでしょう。

ソフトウェア品質技術者資格認定制度(JCSQE)

ソフトウェア品質技術者資格認定制度(JCSQE)は、ソフトウェア開発における品質管理のスキルや知識を評価し、認定するためのプログラムです。ソフトウェアの品質向上とプロフェッショナルな品質管理技術者の育成を目的とされています。

ソフトウェア品質技術者資格認定制度(JCSQE)を取得することで、ソフトウェアの品質評価、テスト、品質保証、プロセス改善などの領域でのスキルが評価されます。基本から上級までの複数のレベルの認定が存在するため、初級からはじめて経験やスキルを高めていくことで上級の資格の取得が実現できるでしょう。

またソフトウェア品質技術者資格認定制度(JCSQE)は、国際的なソフトウェア品質標準やベストプラクティスに基づいています。これにより、日本国内外でのソフトウェア品質管理の一貫性が確保されているといえます。

JSTQBテスト技術者資格認定

JSTQBテスト技術者資格認定は、ソフトウェアテストにおけるスキルと知識を評価し、認定するためのプログラムです。JSTQBとは、国際的なソフトウェアテスト資格認定の標準であるISTQBの日本国内の実施組織を指します。

ソフトウェアテストの専門家やプロフェッショナルのスキルを評価するための制度であり、テスト計画の策定、テストケースの設計、テスト実施、デバッグなど、ソフトウェアテストに関する幅広いスキルが対象となります。

またISTQBの基準に基づいて資格認定を行うため、世界的に認知されたソフトウェアテストの資格認定標準であるといえるでしょう。

JSTQBテスト技術者資格認定には、ファンダメンタルレベルとアドバンスドレベルの2つのレベルが存在します。ファンダメンタルレベルはソフトウェアテストの基本的なスキルを評価し、アドバンスドレベルはより高度なテストスキルを対象としています。

信頼性技術者資格認定制度(JCRE)

信頼性技術者資格認定制度(JCRE)は、製品やシステムの信頼性を高めるためのスキルや知識を評価して認定するためのプログラムです。信頼性工学と品質管理の専門家が製品やシステムの信頼性を向上させるために必要な能力を証明できます。

信頼性技術者資格認定制度JCREの認定は、信頼性工学と品質管理の専門家やプロフェッショナルのスキルを評価して認定するための制度であり、信頼性の評価、信頼性予測、信頼性試験の計画と実施、信頼性改善戦略などの領域が対象となります。

まとめ

システム開発における品質管理は、開発プロセス全体で品質を確保し、システムの優れた品質を実現するための活動です。

品質管理の目的は、顧客満足度の向上、バグや欠陥の最小化、運用の安定性などです。システム開発方法によっては、要求定義、設計、開発、テスト、展開といった各工程で品質を確認する必要があります。

また品質管理のポイントとして、要求の網羅性の確認、関連部署との連携、各工程ごとのチェック、品質の保証の把握が重要です。

これからシステム開発を検討している方は、どのようなものをつくりたいのかだけではなく、品質を向上・維持させるためのタスクや流れなどを把握しておきましょう。