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AWS S3とは?料金・ストレージクラス7種比較・コスト削減設定を完全解説【2026年版】

2023.04.26

/最終更新日:

「クラウドのストレージといえばS3」とはよく聞くけれど、実際に料金を計算したり、ストレージクラスを使い分けたりするのは意外と難しいものです。

S3の料金は保存量・転送量・リクエスト数という3軸で課金されるため、なんとなく使い続けるとコストが膨らみやすいサービスです。一方、正しく設定すれば「使わないファイルの保存コストを90%以上削減」することも現実に可能です。

この記事では、AWS S3の基本的な仕組みから、7種類のストレージクラスの料金比較、そして情シス担当者がすぐ設定できるコスト削減ポイント4つを、実務レベルで解説します。

想定読者

  • AWSを導入済みで、S3の料金を下げたい情シス担当者
  • S3を初めて使う・導入を検討中の方
  • ストレージクラスの違いがよくわからない方
  • バックアップや静的ファイル配信でS3を使っているが、コスト最適化できていない方

AWS S3とは?仕組みと基本概念をわかりやすく解説

AWS S3(Amazon Simple Storage Service)は、Amazonが提供するオブジェクトストレージサービスです。2006年の提供開始以来、世界中の企業がデータ保存・バックアップ・Webコンテンツ配信・データレイクなどに活用しています。

S3の3つの特徴

1. 容量無制限・高耐久性

S3は保存容量に上限がありません。1バイトから数ペタバイトまで、任意のサイズのファイルを保存できます。データの耐久性は99.999999999%(イレブンナイン)と設計されており、AWS内部で自動的に複数拠点にデータが複製されます。

2. 使った分だけ課金

S3は初期費用・最低利用料金が不要です。保存したデータ量・転送量・リクエスト数に応じた従量課金のため、小規模から始めて徐々に拡大できます。

3. AWSサービスとの高い親和性

EC2・Lambda・CloudFront・Athena・EMRなど、ほぼすべてのAWSサービスとネイティブ連携できます。「AWS上でファイルを扱う」際は、ほぼ必ずS3が登場します。

S3の基本用語

用語意味
バケットS3のデータ保存領域。フォルダの最上位にあたる。名前はAWS全体でユニーク
オブジェクトS3に保存するファイルのこと(画像・動画・CSV・バックアップ等)
キーオブジェクトのパス(ファイル名を含むパス文字列)
リージョンバケットを作成するAWSのデータセンター所在地域(東京・大阪等)
ストレージクラスアクセス頻度に応じた料金プランの種類(7種類)

S3の主な用途

  • バックアップ・アーカイブ:基幹システムのDBバックアップ、設備写真・設計図のアーカイブ
  • 静的Webサイトホスティング:HTMLやCSS・画像をS3から配信(CloudFrontと組み合わせ)
  • ログ保存:ALBやCloudTrailのログを自動的にS3へ集約
  • データレイク:Athenaで分析するための生データ保管場所
  • メディアファイル配信:動画・画像をS3+CloudFrontで世界配信

AWS S3の料金体系:3つの課金軸を押さえる

S3の料金は「保存料金 + 転送料金 + リクエスト料金」の3軸で構成されます。

1. 保存料金(ストレージ料金)

S3に保存したデータ量に応じて月額で課金されます。料金はストレージクラス(後述)によって大きく異なります。

S3 Standard(最も一般的なクラス)の東京リージョン料金(2026年時点):

保存量料金(USD/GB/月)
最初の50TB$0.025
次の450TB$0.024
500TB超$0.023

1TBを1ヶ月保存すると約$25(約3,750円)です。

2. データ転送料金(アウトバウンド)

S3からインターネットへのデータ転送に課金されます。同一リージョン内のEC2へのデータ転送は無料です。

転送量料金(USD/GB)
最初の100GB/月無料
次の10TB$0.114
次の40TB$0.089
100TB超$0.086

※ CloudFrontへの転送は無料。

3. リクエスト料金

S3へのAPI呼び出し(ファイルのアップロード・ダウンロード・一覧取得等)にも課金されます。

操作料金(東京リージョン)
PUT / COPY / POST(書き込み)$0.0053 / 1,000リクエスト
GET / SELECT(読み取り)$0.00042 / 1,000リクエスト
DELETE無料

通常の利用では小額ですが、Lambda等から大量のファイル操作を行う場合は注意が必要です。

7種のストレージクラス料金比較

S3にはアクセス頻度・取り出し速度に応じて7種類のストレージクラスが用意されています。適切なクラスを選ぶことがコスト最適化の最大のポイントです。

ストレージクラス保存料金(/GB/月)最低保存期間取り出し料金用途
S3 Standard$0.025なし無料頻繁にアクセスするデータ
S3 Intelligent-Tiering$0.023〜なし無料アクセスパターン不明なデータ
S3 Standard-IA$0.01930日$0.01/GB月1〜2回程度のアクセス
S3 One Zone-IA$0.015230日$0.01/GB再生成可能な低頻度データ
S3 Glacier Instant Retrieval$0.00590日$0.03/GB四半期に1回程度のアーカイブ
S3 Glacier Flexible Retrieval$0.00490日$0.01/GB(大容量)年1〜2回のアーカイブ
S3 Glacier Deep Archive$0.00099180日$0.02/GB7年以上の長期保存・法令対応

使い分けの基本指針

  • 毎日アクセスするファイル → S3 Standard
  • アクセス頻度が変動する → Intelligent-Tiering(自動で最適クラスに移行)
  • 月に数回しか使わないバックアップ → Standard-IA
  • 3ヶ月以上触らないアーカイブ → Glacier Instant Retrieval
  • 法令対応・7年保存義務 → Glacier Deep Archive(Standard比で97.5%削減

S3費用を抑える4つの設定ポイント

ポイント1:ライフサイクルポリシーの設定

S3の「ライフサイクルポリシー」を使うと、一定期間が経過したオブジェクトを自動的に低コストなストレージクラスに移行・削除できます。

設定例:バックアップファイルの場合

  1. 作成後30日:Standard → Standard-IA に移行(保存料金 約24%削減)
  2. 作成後90日:Standard-IA → Glacier Flexible Retrieval に移行(さらに約79%削減)
  3. 作成後365日:削除(または Deep Archive へ)

設定はAWSコンソール → S3バケット → 「管理」タブ → 「ライフサイクルルール」から GUI で設定できます。

ポイント2:S3 Intelligent-Tieringの活用

Intelligent-Tieringは、アクセス状況を自動監視して最適なストレージクラスに移行するクラスです。追加のモニタリング料金($0.0025/1,000オブジェクト)が発生しますが、アクセスパターンが読めないデータには特に有効です。

  • 30日アクセスなし → Infrequent Access層(Standard比40%削減)
  • 90日アクセスなし → Archive Instant Access層(68%削減)
  • 90日以上設定 → Archive/Deep Archive層(95%以上削減)

ポイント3:不要データ・不要バージョンの定期削除

S3のバージョニングを有効にしている場合、削除済みファイルの旧バージョンが蓄積されてストレージ料金を増大させます。

対策:

  • ライフサイクルポリシーで「非最新バージョンを90日後に削除」を設定する
  • 「不完全なマルチパートアップロード」を7日後に削除するルールを追加する

この2つの設定だけで、放置されたデータによるコストを大幅に削減できます。

ポイント4:CloudFrontとの組み合わせ

S3から直接ファイルを配信すると、アウトバウンド転送料金($0.114/GB)が発生します。CloudFront(CDN)経由で配信すると、S3→CloudFront間の転送は無料になり、CloudFrontからのエンドユーザー転送料金($0.114→$0.085/GB)も削減できます。

静的Webサイトや画像・動画配信には、S3+CloudFrontの構成を標準にすることを推奨します。

製造業・中小企業でのS3活用事例

活用事例1:工場の設備点検写真・動画の長期保存

工場での設備点検では、毎月数百枚〜数千枚の写真・動画が発生します。これをファイルサーバに保存すると容量不足・バックアップ管理が課題になりますが、S3に移行すると以下のメリットがあります。

  • 保存容量の上限なし(ファイルサーバの増設不要)
  • ライフサイクルポリシーで1年以上前の写真を Glacier に自動移行
  • S3 Deep Archive で7年保存の法令対応コストを最小化

コスト試算例: 毎月100GBの写真を追加 → 1年後に約600GBをGlacierへ移行すると、Standard継続比で月$12→月$2.4(80%削減)

活用事例2:基幹システムのDBバックアップ先

RDSやEC2上のDBのバックアップをS3へ保存するケースは多くの企業で採用されています。ポイントは「30日以内はStandard-IAで取り出しやすく、90日以降はGlacierへ移行」する設計で、コストを抑えつつ復元時の速度も確保できます。

活用事例3:ECサイト・Webシステムの静的ファイル配信

商品画像・CSS・JavaScriptをS3+CloudFrontで配信する構成は、共有レンタルサーバへの依存を解消し、Webサイトの表示速度と可用性を大幅に改善します。CloudFront+S3の構成は、月間1,000万PV規模でも$50〜100程度で運用できます。

よくある質問

Q. S3は無料で使えますか?

A. AWSの「無料利用枠」の範囲でS3を試せます。12ヶ月間、S3 Standardに5GB・20,000 GETリクエスト・2,000 PUTリクエストが無料です。ただし超過分は課金されるため、本番運用前に料金計算ツールで見積もることを推奨します。

Q. S3に保存したファイルはいつでも取り出せますか?

A. StandardおよびIntelligent-Tiering(高頻度アクセス層)はいつでもすぐに取り出せます。Glacier Flexible RetrievalやDeep Archiveは取り出し申請後3時間〜12時間かかります。即時取り出しが必要なデータにはGlacier Instant Retrievalを使用してください。

Q. S3のセキュリティは大丈夫ですか?

A. S3はデフォルトで「パブリックアクセスブロック」が有効になっており、意図しない公開を防止する設計になっています。IAMポリシー・バケットポリシー・サーバーサイド暗号化(SSE-S3/SSE-KMS)を組み合わせることで、機密データも安全に保存できます。S3セキュリティの設定は定期的な見直しを推奨します。

Q. S3のコストが予想外に増えていた場合の原因は?

A. よくある原因は「①バージョニングで旧バージョンが蓄積されている」「②不完全なマルチパートアップロードが残っている」「③Standardのまま長期保存している」「④S3からのアウトバウンド転送が多い」の4つです。AWSコストエクスプローラーでS3の内訳を確認し、ライフサイクルポリシーとCloudFront導入で対処できます。

まとめ

  • AWS S3は容量無制限・高耐久のオブジェクトストレージ。AWSを使うなら必ず理解すべきサービス
  • 料金は「保存量 + 転送量 + リクエスト数」の3軸。S3 Standardは東京で$0.025/GB/月
  • ストレージクラスは7種類。アーカイブにはGlacier Deep Archiveでコストを97%削減可能
  • コスト最適化の4本柱は「ライフサイクルポリシー」「Intelligent-Tiering」「不要データ削除」「CloudFront併用」
  • 設定は複雑に見えるが、GUIで設定できる。自社環境への適用判断に迷ったら専門家に相談を

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