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AWSの脆弱性対策を紹介|Amazon Inspectorでできることとは?

2024.02.29

AWS(Amazon Web Services)を利用している場合、システムの脆弱性の有無を調査し、脅威が見つかれば対応する必要があります。

本記事では、AWSの脆弱性についてよくある攻撃方法や対策をご紹介します。

その他、AWSの脆弱性対策におすすめのサービスもお伝えするので、AWSの利用を検討している場合もぜひ参考にしてください。

AWSにおける脆弱性とは?

AWSにおける脆弱性は、システムやアプリケーションに存在する潜在的な脆弱性やセキュリティ上の欠陥のことです。脆弱性が悪用されると、機密情報の漏洩、不正アクセス、サービスの中断などのセキュリティリスクが生じる恐れがあります。

システムやソフトウェアには、セキュリティホールが存在する場合があります。バグや設計上の欠陥によるもので、ユーザーが修正パッチを適用しない限り、悪意ある攻撃者によって悪用されてしまうでしょう。

また、AWSリソースの設定ミスや不適切なアクセス権限の付与により、セキュリティが脆弱になることがあります。例えば、S3 バケットが誤って公開されてしまうなどが挙げられます。

AWSの脆弱性を突くよく見られる攻撃

ここでは、AWSの脆弱性を突くよく見られる攻撃を4つご紹介します。

SQLインジェクション

SQLインジェクションは、主にWebアプリケーションにおいて見られる一種のセキュリティ攻撃手法です。

攻撃者がWebアプリケーションに対して悪意あるSQLクエリを注入することで、データベースに対する不正なアクセスを試みます。AWS上でホストされるWebアプリケーションも、これらの攻撃から潜在的に影響を受ける可能性があるでしょう。

クロスサイトスクリプティング

クロスサイトスクリプティングは、Webアプリケーションにおける一般的なセキュリティ脆弱性です。

この脆弱性を放置すると、不正なスクリプトコードがブラウザで実行される恐れがあります。AWS上でホストされるWebアプリケーションも、この種の攻撃に対して潜在的に脆弱である可能性があります。

クロスサイトリクエストフォージェリ

クロスサイトリクエストフォージェリは、先ほどご紹介したクロスサイトスクリプティングと同じく、Webアプリケーションにおけるセキュリティ脆弱性の1つです。

攻撃者は被害者が認証済みであるときに、被害者の意図しないアクションを実行させることが可能です。

バッファオーバーフロー

バッファオーバーフローは、プログラムがメモリ領域外にデータを書き込むことによって、不正なアクセスやコードの実行を引き起こすセキュリティ脆弱性の1つです。

バッファオーバーフロー攻撃は、適切な対策が取られていない場合、システムやアプリケーションに深刻な影響を与える恐れがあります。AWS上のサービスやアプリケーションも、この種の攻撃から守る必要があるでしょう。

AWSの脆弱性対策3つ

ここでは、AWSの脆弱性対策を3つご紹介します。

情報収集を行う

AWSサービスや使用しているアプリケーション、オペレーティングシステムなどのセキュリティアップデートがリリースされた場合、それらの情報を定期的に確認しましょう。その結果、既知の脆弱性に対する修正や対策が実施されたかどうかを把握できます。

AWS CloudTrailなどのサービスを利用して、AWSアカウント内のアクションやイベントに関するセキュリティログをモニタリングすることもポイントです。不審な活動や潜在的な脆弱性の兆候を検出しやすくなり、早期対応ができるようになります。

また、セキュリティ関連のニュースやアラートを積極的に購読し、最新のセキュリティ情報を取得しましょう。AWSのセキュリティブログやセキュリティ関連のWebサイト、メーリングリストなどが活用できます。

ハードウェアやソフトウェアを管理する

AWSは、物理的なセキュリティにも重点を置いていますが、ユーザーは物理的なアクセスコントロールも含めたハードウェアの安全な運用を確認する必要があります。

AWSサービスやインフラストラクチャをセキュアに構成するために、AWSベストプラクティスに従い、必要な権限の最小化、セキュリティグループやネットワークACLの設定、データの暗号化などを実施することがポイントです。

また、使用しているオペレーティングシステムやソフトウェアに対して、最新のセキュリティパッチが適用されていることを確認し、必要に応じてパッチを適用します。AWS Systems Managerなどのツールを使用すると、効率的なパッチ管理が実現できるでしょう。

脆弱性診断を実施する

脆弱性診断は、システムやアプリケーションに存在する可能性のある脆弱性を早期に発見し、修正するための重要な手段です。攻撃者がこれらの脆弱性を悪用して侵入し、データを盗み出したり、サービスを妨害したりするリスクを最小限に抑えることが目的です。

脆弱性は常に進化しており、新たな攻撃手法や脆弱性が発見されます。定期的かつ継続的な脆弱性診断が必要です。AWS上のリソースやアプリケーションが変更されるたびに診断を行い、セキュリティの状態を確認することがポイントです。

また、手動と自動の組み合わせが効果的です。手動で複雑な攻撃シナリオやビジネスロジックの脆弱性を発見し、自動化されたツールを使用して広範なスキャンを実施することで、全体的なセキュリティカバレッジを向上させられるでしょう。

AWSの脆弱性対策におすすめのAmazon Inspectorとは?

AWSの脆弱性対策には、Amazon Inspectorの活用がおすすめです。Amazon Inspectorとは、AWSが提供する自動脆弱性管理サービスです。

ただし、脆弱性への対応は自動化されていないので、問題が発見された時の対応は管理者が実施する必要があります。

ここでは、Amazon Inspectorをおすすめする理由を5つご紹介します。

脆弱性やネットワークの露出がないか確認

Amazon Inspectorは、AWS上のインフラストラクチャやアプリケーションに対して脆弱性を評価し、セキュリティの問題を発見するサービスです。エージェントを使用してEC2インスタンス内で実行されているアプリケーションやプロセスにアクセスし、脆弱性情報やネットワークの露出情報を取得します。

Common Vulnerabilities and Exposures(CVE)データベースと連携し、最新の脆弱性情報を利用してスキャンを行います。そのため、既知のセキュリティの脆弱性に対する評価が可能です。

また、ネットワークの構成やセキュリティグループ、ネットワークACLなどの設定を評価することもできます。不適切なネットワークの設定や不必要な露出がないかを確認でき、よりセキュリティの強化につながるでしょう。

リスクスコアを使用して脆弱性を正確に評価

Amazon Inspectorは、脆弱性の重要度や影響度を示すリスクスコアを使用して、脆弱性を評価します。単に脆弱性の数だけでなく、それが実際にシステムに及ぼす影響を考慮した総合的な評価が可能です。

リスクスコアは、特定の脆弱性がシステム内でどのようなコンテキストで発見されたかを考慮しています。例えば、特定のポートが外部からアクセス可能かどうか、アプリケーションがセンシティブなデータを処理しているかなどが考慮され、スコアが調整されます。

また、ユーザーはAmazon Inspectorのセキュリティポリシーをカスタマイズでき、組織独自のセキュリティ基準や規制要件に基づいてリスクスコアの評価が可能です。リスクスコアを使用することで、特定の脆弱性が他のものと比較してどれだけ重要であるかを理解しやすくなります。

影響の大きい検出結果を特定する

Amazon Inspectorは、脆弱性やセキュリティイベントの重要度を評価し、それに基づいて検出結果に優先度を付けます。例えば、特定の脆弱性が攻撃者によって容易に悪用される可能性がある場合、それは高い重要度が与えられるでしょう。

ネットワーク構成やセキュリティグループ、ネットワークACLなどの設定に焦点を当て、不適切な設定や外部からのアクセス可能なポート、露出されたサービスを特定します。そのため、攻撃面が広がる可能性がある検出結果を特定することが可能です。

また、脆弱性が攻撃者によって実際に利用される可能性を評価します。検出結果が特定の攻撃ベクトルに対して実際の影響を持つ場合、その影響の大きさを考慮して評価されます。

検出結果を管理

Amazon Inspectorは、検出された脆弱性やセキュリティイベントに関する詳細な情報を提供します。ユーザーは検出結果を細かくカスタマイズし、必要に応じて異なる観点から分析が可能です。

セキュリティポリシーを適用して検出結果を評価し、セキュリティの基準に合致しているかどうかを確認できます。そのため、特定のセキュリティ基準や規制要件に対する準拠を確認する際に便利です。

また、脆弱性やセキュリティイベントの重要度を評価し、それに基づいて検出結果に優先度を付けるので、影響が大きいものや緊急の対応が必要なものを優先的に取り組むことができます。

検出結果のモニタリングと処理

Amazon Inspectorは、検出された脆弱性やセキュリティイベントに関する情報をリアルタイムで提供します。これにより、検出結果の変化や新しい脆弱性の出現などを迅速に把握し、セキュリティの状態を継続的にモニタリングが可能です。

Amazon Inspectorでは、検出結果に対して特定のイベントがトリガーとなり、事前に定義されたアクションが実行される仕組みを設定できます。例えば、高度な脆弱性が検出された場合には、自動的に通知を送信するなどのアクションが可能です。

また、検出結果に基づいてアラートと通知を設定できます。そのため、特定の脆弱性に関する情報を関係者に即座に通知し、迅速な対応を実現できます。

まとめ

AWSにおける脆弱性は、システムやアプリケーションに存在する可能性のある弱点や不備のことを指します。

主な攻撃手法にはSQLインジェクション、クロスサイトスクリプティングなどがあります。

これらの攻撃に対する対策としては、日頃から情報収集、ハードウェアやソフトウェアの管理、脆弱性診断の実施が重要です。

また、AWSの脆弱性対策におすすめのAmazon Inspectorは、脆弱性やネットワークの露出を確認するとともに、リスクスコアを用いて正確に脆弱性を評価し、影響の大きい検出結果を特定します。

検出結果を効果的に管理してリアルタイムでモニタリングすることもできるので、AWS環境のセキュリティをより強化したい場合はぜひ導入してみてください。