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ゼロトラストをわかりやすく解説|導入するメリットやセキュリティ対策とは?

2023.11.24

システムを運用するうえで、ゼロトラストという言葉を耳にする方がいるのではないでしょうか。

ゼロトラストを導入することで、大きなメリットを得られるケースがありますが、一方でデメリットも存在します。

本記事では、ゼロトラストの基本概念や重要性をはじめ、ゼロトラストを導入するメリットやデメリットをご紹介します。

そのほか、ゼロトラストにおける課題と導入する際のポイントもお伝えするので、システム運用において課題を抱えている企業はぜひ参考にしてください。

ゼロトラストとは?基本概念をわかりやすく解説

ゼロトラストとは、システムのセキュリティにおいて「信頼しない、常に検証する」を原則に運用する考えです。内部ネットワーク内にいるから安全であるという従来の信頼モデルから離れ、ネットワーク内外を問わずすべてのアクセス要求は信頼されないということを指します。

個々のユーザーやデバイスには、必要最小限のアクセス権限のみが与えられます。これにより、リソースへのアクセスが厳格に制限され、セキュリティが強化されます。

またネットワーク内の活動は常に監視され、不審な行動が検出された場合にはすぐに対応が可能です。その結果、内部および外部からの脅威に迅速に対処できるでしょう。

導入する重要性

ゼロトラストモデルは、不正アクセスによるデータ漏洩のリスクを大幅に減少させることができ、長期的にシステムを運用するうえで重要といえます。

従来のセキュリティモデルでは、内部ネットワーク内の脅威に対する防御が不十分でした。ゼロトラストは、内部からの脅威にも対応し、セキュリティを全面的に強化します。

リモートワークが普及するなか、伝統的なセキュリティ境界が曖昧になってきている場合があるでしょう。ゼロトラストモデルは、このような環境下でも効果的なセキュリティを提供します。

またサイバー攻撃は日々進化し、より巧妙になっています。ゼロトラストは、アクセスのたびに身元確認と検証を行うことで、これらの複雑な攻撃に対する防御力を高められるでしょう。

ゼロトラストを導入するメリット

ここでは、ゼロトラストを導入するメリットを3つご紹介します。

セキュリティ水準が上がる

ゼロトラストモデルは、不正アクセスや内部者によるデータ漏洩などの脅威に対して有効です。すべてのユーザーとデバイスが常に検証されるため、内部脅威に迅速に対応でき、セキュリティ水準が上がるでしょう。

ゼロトラストは、ユーザーとデバイスのアイデンティティを確認し、厳格なアクセス制御を実施します。これにはマルチファクター認証、IAMなどが含まれます。

また、最小限の特権アクセス原則により、ユーザーには必要最小限のアクセス権限のみが与えられるでしょう。ネットワーク内のすべての活動は継続的に監視され、異常な行動が検出された場合にはすぐに対応が行われるので、データ漏洩のリスクを下げられます。

セキュリティ運用が効率化できる

ゼロトラストは、アクセス管理やネットワーク監視において自動化技術を活用するケースがほとんどです。その結果、手動での監視や管理作業が削減され、セキュリティ運用が効率化されます。

ゼロトラストモデルでは、セキュリティポリシーと管理が一元化されるため、組織全体でのセキュリティ管理が容易になります。統一されたプラットフォームを使用することで、異なるシステム間でのポリシーの一貫性が保たれるでしょう。

また、継続的な監視とリアルタイム分析により、セキュリティ違反や異常な行動を迅速に検出し対応できるようになります。違反が発生した際の対応時間を短縮し、影響を最小限に抑えるのに寄与します。

テレワークに移行できる

ゼロトラストモデルの導入は、コロナウイルスの流行にともない、急速に増加したリモートワークのニーズに対応するうえで重要な利点となっているでしょう。

リモートワークでは、データが企業の外部に流出するリスクが高まります。ゼロトラストモデルにより、データの暗号化や不正アクセスからの保護など、データセキュリティが強化されます。

また、ゼロトラストアーキテクチャは、リモートユーザー、デバイス、アプリケーションへの安全なアクセスを提供します。ユーザーの身元とデバイスの安全性が常に検証されるため、外部からのアクセスが企業ネットワークを危険にさらすことはないでしょう。

ゼロトラスト環境では、ネットワークとデバイスの継続的な監視が行われ、異常が検出された場合には迅速に対応します。テレワーク中にセキュリティに関するトラブルが起こっても、スムーズに対処できるでしょう。

ゼロトラストを導入するデメリット

ここでは、ゼロトラストを導入するデメリットを2つご紹介します。

セキュリティコストが上がる

ゼロトラストモデルの実装には、高度なセキュリティ技術とソリューションが必要です。たとえば、マルチファクター認証、アイデンティティとアクセス管理システム、高度な暗号化技術などの導入が必要となります。

また、既存のネットワークインフラストラクチャをゼロトラストアーキテクチャに合わせて改変するためのコストがかかります。特に大規模な組織では、既存システムの再構築やアップグレードに多大なコストが必要となるでしょう。

ゼロトラストネットワークの維持には、継続的な管理とメンテナンスが必要です。専門的なITスタッフの雇用やトレーニングも含まれるため、人件費の増加につながります。

メイン業務の効率が下がる

ゼロトラストモデルでは、すべてのアクセス要求に対する厳格な認証と検証が必要です。これにより、従業員が必要なシステムやデータへアクセスする際のプロセスが複雑化し、時間がかかるようになります。

従業員が新しいセキュリティポリシーやプロセスに慣れるまでには時間がかかり、その間、業務の効率が一時的に低下するケースがあります。リアルタイムのセキュリティ検証やマルチファクター認証により、業務に必要なアプリケーションやサービスへのアクセスに時間がかかることがあるでしょう。

また、ゼロトラストモデルを効果的に運用するためには、従業員への継続的なトレーニングと教育が必要です。このトレーニング期間中、業務に割ける時間が減少してしまうでしょう。

ゼロトラストにおける課題

ゼロトラストを導入する際、企業が抱えやすい課題を把握する必要があります。ここでは、ゼロトラストにおける課題を2つご紹介します。

社内で反対派が生じる

この課題は、組織内での変化への抵抗や、新しいセキュリティプロトコルに対する不満から生じることが多いです。

ゼロトラストモデルの導入は、従業員が慣れ親しんだワークフローやプロセスを変えることを意味するため、一部の従業員や管理職からの反対に直面するケースがあります。

また、従業員に対して新しい認証手順やアクセスポリシーを求める場合、従業員の仕事の効率や日常業務に影響を与える場合があり、不満を引き起こす恐れがあるでしょう。従業員はなぜ変更が必要なのか、どのように彼らの作業に影響を及ぼすのか、理解してもらう必要があります。

人材の確保が必要である

ゼロトラストは、従来のセキュリティモデルと異なり、ネットワーク内部でも全てのアクセスを信用しないという考え方に基づいています。そのため、このモデルを効果的に実装するためには、ネットワークセキュリティ、クラウドセキュリティ、アイデンティティ管理など、幅広い技術的知識が必要になります。

社内にIT人材がいない場合は、新たにITやゼロトラストに詳しい人材を確保する必要があるでしょう。セキュリティ管理の担当者にIT人材を採用することで、そのほかの業務に対する人的リソースが減ってしまうケースがあります。

また、セキュリティ環境は常に変化しており、新しい脅威や技術が現れます。ゼロトラストモデルを維持するには、セキュリティチームが最新の知識と技能を身につけるための教育とトレーニングが必要です。

ゼロトラストを実現するためのポイント

ここでは、ゼロトラストを実現するためのポイントを4つご紹介します。

エンドポイントセキュリティ

ユーザーのデバイスやサーバーなどのエンドポイントは、ネットワークへのアクセス前に確実に識別され、信頼性が検証される必要があります。エンドポイントセキュリティには、多要素認証、デバイスの認証、ユーザーの身元確認などが含まれるでしょう。

エンドポイントがネットワークリソースにアクセスする際には、最小権限原則に基づいてアクセス権が付与されます。エンドポイントが必要とするリソースのみに限定してアクセスを許可し、不要なリソースへのアクセスを防ぐことを指します。

また、エンドポイントのセキュリティ状態は継続的に監視され、評価される必要があるでしょう。具体的には、セキュリティパッチの適用状況、アンチウイルスソフトウェアの更新、異常行動の検出などを行います。

セキュリティ侵害が疑われるエンドポイントは、迅速にネットワークから分離される必要があります。エンドポイントで処理されるデータは、適切に保護される必要があり、データの暗号化や機密情報の安全な扱いが重要です。

ネットワークセキュリティ

ネットワークセキュリティでは、ネットワークをより小さなセグメントに分割し、各セグメント間のアクセスを厳密に制御します。セキュリティ侵害が発生した場合にも、脅威がネットワーク全体に拡散するのを防ぎます。

ネットワークトラフィックとユーザーの振る舞いをリアルタイムで監視し、異常なパターンや潜在的な脅威を迅速に検出が可能です。これには、異常行動検出システム(ADS)や侵入検知システム(IDS)が使用されるでしょう。

また、データのプライバシーと整合性を保護するために、ネットワーク内外で転送されるすべてのデータは暗号化される必要があります。これにより、データが盗聴や改ざんから守られます。

クラウドセキュリティ

クラウド内で保存されるデータは、休止状態および転送状態の両方で暗号化されるべきです。これにより、データの漏洩や改ざんのリスクが軽減されるでしょう。

クラウド環境へのアクセスは、VPNやSDP(Software Defined Perimeter)などを使用して行われるべきです。内部ネットワークトラフィックも監視し、不審な活動を検出する必要があります。

また、クラウド環境内のアクティビティを継続的に監視しリスク評価を行うことで、セキュリティにおける問題の早期発見と対応が可能になります。クラウド環境のセキュリティポスチャを継続的に評価し管理すると、セキュリティの弱点や誤配置を発見し、修正することが可能です。

セキュリティ監視・運用

ネットワーク内のすべてのアクティビティをリアルタイムで監視し、データフローを追跡することが重要です。これにより、異常な挙動や潜在的な脅威を迅速に検出できます。

セキュリティ侵害が検出された場合、スムーズな対応が必要です。ネットワークへのアクセスは厳格なポリシーに基づいて管理することで、ユーザー、デバイス、アプリケーションごとに、アクセス権限を適切に制御します。

また、セキュリティ関連のイベントログを収集し分析することで、問題の原因分析や将来の脅威への対策に役立てられるでしょう。より分析能力を高めるためにも、組織全体のセキュリティ意識を高めるための従業員へのトレーニングが求められます。

まとめ

ゼロトラストは「信頼しない、常に検証する」を原則とするセキュリティモデルです。

ゼロトラストにより内外の脅威に迅速に対応でき、不正アクセスやデータ漏洩リスクが減少します。

導入するメリットには、セキュリティ水準の向上、運用の効率化、リモートワーク対応がありますが、デメリットとしてセキュリティコストの増大や業務効率の一時的低下があります。

ゼロトラストを導入する際には、エンドポイントセキュリティ、ネットワークセキュリティ、クラウドセキュリティ、セキュリティ監視・運用の強化が重要です。