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システム開発の事例をジャンル別に紹介|事例を確認するときのポイントとは?

2023.12.14

システム開発を検討している会社は、作業に取り掛かる前に事例を参考にすると良いでしょう。

システム開発の事例を事前にチェックすることで、どのようなシステムを導入して課題を解決できたのか、どのような効果が得られたのかがわかります。

そこで本記事では、システム開発の事例を確認するときのポイントや事例をご紹介します。

システム開発の事例を確認するときのポイント4つ

ここでは、システム開発の事例をチェックするときのポイントを4つご紹介します。

同じ業種であるか

同じ業種の事例を参照することで、同じような悩みを抱えている企業の開発事例が見つかる可能性があります。

また課題を抱えているものの、どのように対応すべきかわからない場合は、開発事例からヒントを得られることもあるでしょう。

確認した事例が競合企業のときは、競合との差をつけるための対策を練る際に参考にすると良いでしょう。

どのようなシステムを導入したか

システム開発事例では、業務管理システムや顧客管理システム、Eコマースシステム、情報管理システム、製造管理システムなど、どのようなシステムを導入したのか確認しましょう。

詳細まで記載されていれば、クラウドベースやAIなどどの技術を使用しているか、既存システムとの統合やカスタマイズの程度なども確認することがポイントです。

また、アジャイル、ウォーターフォール、DevOpsなどの開発手法、プロジェクトの計画、実行、監視方法なども参考にできるでしょう。

課題を解決できたか

成功したシステム開発事例では、解決すべき具体的な課題が明確に特定されています。開発の目的と方向性を正確に定める基礎となり、課題の範囲とビジネスや運用に与える影響を把握することが重要です。

システム開発により、もともと抱えていた課題が解決できたかを事例で確認してみましょう。ただ解決したというだけではなく、何%改善されたか、どの程度解決できたか、などの細かい部分までチェックすることがポイントです。

また、BtoCのサービスを提供している企業の場合、顧客からの評価や口コミを集めて、ようやく課題が解決できたかを確認できるケースがあります。その場合は、システム開発をするだけではなく、顧客からの意見を集める方法も考えておくべきでしょう。

その他の効果があったか

システム開発の事例のなかには、企業が抱えている課題以外の観点において、効果が得られたケースがあります。

システム開発の効果には、新規顧客率アップや顧客満足度アップ、既存システムのコスト削減、人的リソースの最適化などがあります。

1種類のシステムを開発することにより、多数の効果を実感できる可能性があり、結果的に運用コストを抑えられる場合があるでしょう。

システム開発の事例を確認する際、解決できたさまざまな課題のなかに、自社が抱えている課題に当てはまるものがないかチェックすることがポイントです。

【サービス業】システム開発事例5選

ここでは、サービス業のシステム開発事例を5選ご紹介します。

株式会社東京舞台照明

株式会社東京舞台照明は、演劇や舞踊などの舞台編出演で使用する照明デザインなどを手がけている企業です。

過去に別の担当者が仕事をしたことがある相手と打ち合わせをした際に、それを知らずに話を進めてしまうことがたくさんあった件が課題となっていました。その都度、先方から説明を受けることとなり、プロジェクトのスムーズな進行を妨げてしまう原因となるでしょう。

そこで、名刺管理システムを導入することとなりました。その結果、事前に先方の情報を集めてから、打ち合わせに参加できるようになっています。展示会を開く際に、システム上で管理されているクライアントに対して、招待状を送付できるようにもなりました。

株式会社リクルートテクノロジーズ

株式会社リクルートテクノロジーズは、リクルートグループのテクノロジー開発を行っています。具体的には、グループ環境の整備、運用保守、改善などを提供しています。

リクルートグループを支えるネットワークインフラは約12,000台から構成されており、サーバーは1台あたりで3,300nvpsもの監視処理を実行する必要があります。そのなかで、キャパシティの不足や監視システムの性能、運用管理上の高負荷状況が課題となっていました。

システム開発により、サーバー1台あたりの監視項目数が約8,300nvpsへと改善されています。開発前と比べると、1台あたりの監視収容能力が2.5倍以上も向上しています。

また、データベースのパーティショニングとメンテナンス処理を自動化し、手動でのデータメンテナンス作業が必要なくなりました。Webフロントエンドのアクセスも数秒できるまで改善され、運用作業にかかるコストも大幅に削減できました。

株式会社NTTドコモ

株式会社NTTドコモは、携帯電話の移動通信事業を行っている企業です。

5GやIoTの普及により、オペレーターやエンジニアへの問い合わせの量、内容が異なります。既存システムはサービスごとに管理されているので、問い合わせを受けたときに状況を確認するのに時間がかかっていた点が課題でした。

そのため、調査ノウハウやナレッジなどをシステム上に集約・蓄積するようにしました。その結果、オペレーターやエンジニアの業務効率化をサポートできています。

さらに、ネットワーク装置の情報をクライアントごとに紐付け、情報を集約するだけではなく可視化できる仕組みを取り入れています。

株式会社エディア

株式会社エディアは、IP事業・出版事業・BtoB事業のビジネスを展開している上場企業です。感染症の流行をきっかけに、グループ会社のERPシステムの統合や、テレワークでの対応の実現を目的にシステムを取り入れました。

その結果、本社と子会社のシステムがすべて統合され、二重入力などの作業がなくなり、業務効率がアップしています。人事給与とワークフローシステムが連携されたことで、従業員の住所変更などの作業がスムーズに行えています。

また、テレワークと出社を併用するという働き方の業務基盤が整い、管理部門も自宅で業務できるようになりました。オフィスのフロア半分に縮小でき、毎月の賃貸料の固定費を削減できたという結果が報告されています。

株式会社アイテック

株式会社アイテックは、創業当時からモノづくりに貢献しており、ビル空調計装システムの創作に注力している企業です。

部品構成表を手入力で作成したり、別途Excelで部品手配書を作成したりと、業務時間がかかっていた点が課題でした。人が作業していたので、入力ミスによる手配漏れなども発生していました。

電気設計用CADの情報がシームレスに連携できるシステムを開発し、生産管理の一元化を実現しています。部品ユニットの組み合わせによる効率的な流用設計ができるようになり、時間がかかりそうな設計に時間を費やせるようにもなりました。

【卸売・小売・販売業】システム開発事例5選

ここでは、卸売・小売・販売業のシステム開発事例を5選ご紹介します。

ハウス食品株式会社

ハウス食品株式会社は、カレーやシチューのルーなどの商品を製造・販売している企業です。

既存FAX機の老朽化をきっかけに、システムのリプレイスを検討していました。多額の費用がかかると予想されていましたが、手作業によりミスが多く発生していたので、大きな課題として抱えていました。

導入したシステムは、初期費用を抑えることに注力しながらも、課題であった手作業を削減できたと報告されています。受注センターの社員のテレワークを実現でき、災害時による人手不足のリスクも軽減できました。

キリンビジネスシステム株式会社

キリンビジネスシステム株式会社は、飲料事業や医薬事業などを展開するキリングループの情報機能会社としてITソリューションを提供しています。

セキュリティにおけるリスクや脅威を正しく分析して対策するのに課題を感じたことがきっかけで、セキュリティ体制の見直しでシステムを導入しています。

その結果、ウイルス感染や被害を初期の段階で検知したり防止したりできるようになりました。システムで収集した脅威情報をもとに、運用製品のメンテナンスを促すことで、被害の抑制にもつながっています。

また、各インシデントへの対応速度が改善され、安定したインシデントコントロールができるようになりました。他のグループ会社や組織からの情報を収集しやすくなり、社内関係や連携が強化できた報告もされています。

ライオン株式会社

ライオン株式会社は、洗剤・石鹸・歯磨きなどトイレタリー用品、医薬品、ペット用品などの幅広い商品を販売している企業です。

主にオーラルケアを販売していますが、歯磨きのフレーバーとなる材料を北米まで買い付けて調合していました。またフレーバリストは、人材育成に10年以上かかってしまうので、AIに任せられないかと思ったのがシステム開発の発端です。

AIに500種類以上のフレーバーの特徴を学ばせて、調合をするうえで重要な判断などをできるようになった結果、新商品の開発にかかる時間を半分に短縮できました。

日清食品ホールディングス

日清食品ホールディングスは、カップヌードルやインスタントラーメンなどの食品を多く製造・販売している企業です。

もともとITツールに触れることが少なかったため、デジタル化が浸透していない点が課題でした。デジタル化を促すために、働き方改革を実施しています。

決済書を紙媒体で処理していたのを、書類の電子化とワークフローシステムで効率アップを実現しています。通常20営業日かかっていた業務時間を、4営業日程度まで抑えられました。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は、自動車の製造や販売に力を入れている企業です。

今までは、使っていない機能を廃止・削除する、重複している機能を統合する、などをポイントにシステムの最適化を行ってきました。しかし、トヨタシステムズは、顧客がどのシステムを使っているのかを記録したものから、アプローチする手法を採用し始めました。

その結果、598個の課題が検出され、約45%のスリム化に成功しています。既存システムから移行する際も、維持費用を抑えることに注目し実現しています。

【自治体・行政】システム開発事例3選

ここでは、自治体・行政のシステム開発事例を3選ご紹介します。

足立区役所

足立区は、23区屈指の公園面積を誇っており、区民の憩いの場が多くあるといわれています。

過去には、個人情報が記載された書類が紛失した事例がありました。やり取りが多い日で月に13,000件~15,000件ほどあり、1件1件を追跡できない点が課題でした。

システムを導入してからは、書類の紛失がゼロになり、管理画面から問い合わせに関する情報を確認できるようになっています。書類の確認をパソコンの画面上でできるようになったので、郵送でのやり取りにかかる郵送費の削減にもつながっています。

鳥取県内市町村

鳥取県内市町村は、学校で異なる帳票を使っていたので、教職員が異動するときに新しい帳票になれるまでに時間がかかっていました。システム開発には、財政的な負担が大きいことで、なかなか導入に踏み切らなかったという点もあります。

しかし課題解決のために、鳥取県内にある市町村立小中学校でシステムが一斉導入されています。その結果、異動してもすでに慣れている帳票で業務ができるようになったため、教職員に対する負担が軽減されました。

また、通知表以外の帳票の統一化も実現でき、公募の電子化が進んでいます。運用コストは、最大12億5千万円も削減できています。

熊本県内市町村

熊本県内市町村は、核家族化が進んでいることで見られる子育ての孤独化、子育てついて相談しにくいという男性の悩みなどを課題として抱えていました。そこで、住民が子育てについて相談できるツールを導入しています。

その結果、熊本県内の子育てに関する情報を調べたり、子育て応援の店舗を検索したりできました。国内初の試みであるため、これから他の都道府県でも実施される可能性があるでしょう。

まとめ

システム開発を検討している企業にとって、事前に類似業種の開発事例を参考にすることは非常に有益です。

これにより、どのようなシステムが導入され、どのような課題が解決されたか、またどのような追加の効果が得られたかを理解できるでしょう。

また、本記事ではシステム開発の成功事例をご紹介しているので、同じ業種の事例をぜひ参考にしてみてください。

課題を抱えているもののどのようなシステムを導入すべきかわからない場合や、自社と同じ悩みを持った企業の事例を参考にしたい場合は、開発を進める前に確認しておくと良いでしょう。