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システム開発の要件定義の進め方とは?失敗してしまう原因と対策を紹介

2023.05.18

システム開発を進める際には、はじめに要件定義を行う必要があります。

しかしシステム開発をはじめて行う方の中には、「要件定義って何?」「要件定義書の作り方がわからない」と思っている方がいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、システム開発の要件定義の進め方やよくある失敗事例をご紹介します。

記事終盤では、要件定義を行う前にやることやポイントもお伝えするので、これからシステム開発を行う方はぜひ参考にしてください。

システム開発の要件定義とは?

システム開発の要件定義とは?

システム要件定義は、ソフトウェア開発やシステム設計の初期段階で行われる重要なプロセスです。このプロセスでは、システムが満たすべき要件や機能、制約条件などが明確化されます。

システム要件定義の目的は、システムの目標となるビジョンや要件を特定し、それを実現するための基準を定義することです。要件は機能的な側面だけでなく、パフォーマンスやセキュリティ、利便性などの非機能的な要素も含まれます。

要件定義は、システム開発のスケジュール、予算、リソースの計画にも影響を与えます。

要求定義との違い

要求定義とは、システム開発プロジェクトにおいて発注者がシステムに何を求めているかを、明確にするプロセスです。システムに求められる要求事項を明確化することを目的としています。

要求定義は要件定義の前に行うことであり、要求定義の結果をもとに要件定義を行います。要件定義と要求定義は、言葉が似てますが別々のプロセスなので理解しておきましょう。

要件定義に必要な要素

システム開発の要件定義を行う前に、どのような要素が必要であるか把握しておきましょう。

ここでは、システム開発の要件定義に必要な要素を4つご紹介します。

機能要件

要件定義の中での機能要件は、システムが提供する機能や動作の詳細な要求事項を指します。たとえば、システムが特定の機能やタスクをどのように実行するか、ユーザーがどのようにシステムを操作するか、システムの振る舞いや応答をどのように制御するかなどです。

システムの各機能や機能群に対する操作や動作を記述する際、「特定のボタンをクリックすることで特定の処理が実行される」などといったように具体的に記述する必要があります。

また機能要件は、ユーザーがシステムを利用する際の視点から記述されます。ユーザーエクスペリエンスを向上させるために、使いやすさやユーザーが期待する動作を考慮して定義しましょう。

性能要件

システム開発の要件定義における性能要件は、システムが適切な性能水準を達成するための要求事項です。システムが処理能力、応答時間、負荷耐性、スケーラビリティなど、さまざまな性能指標に対してどのようなパフォーマンスを提供する必要があるかを定義します。

システムがユーザーのリクエストに対して、どれくらいの時間内に応答する必要があるかを示します。システムの応答時間を1例に上げると、「ユーザーのアクションに対して1秒以内の応答を提供する」という取り決めを行います。

また、システムが一定の負荷や同時アクセスに対して、どの程度の安定性を保つ必要があるかを示します。たとえば、同時に1,000人以上のユーザーがアクセスしてもシステムがクラッシュしない要求が性能要件として定義されることがあるでしょう。

システムが将来的に増加するユーザー数やデータ量に対してmどの程度スケーラブルである必要があるかを示します。システムが拡張可能であることが求められる場合、それに関する要求を性能要件として記述する必要があります。

品質要件

システム開発の要件定義における品質要件は、システムやソフトウェアが適切な品質水準を達成するための要求事項です。システムの信頼性、セキュリティ、利用可能性、耐用年数、適合性などを定義します。

システムが正確に動作してエラーや障害が少ないことが求められる場合、信頼性に関する要求が品質要件として記述されます。たとえば、システムのクラッシュ率が1%以下であることなどです。

またシステムが適切なセキュリティ保護を提供することを求められる場合、セキュリティ要件が品質要件として記述されます。たとえば、ユーザー認証が必要である、データの暗号化が行われるなどと記述するケースが多いです。

システムが一定期間以上にわたって使用可能であることが求められる場合、耐用年数に関する要求を品質要件として記述する必要があります。

実行計画

システム開発の要件定義における実行計画は、システムの開発プロセスやプロジェクトの進行計画を指します。具体的には、システム開発プロジェクトがどのように進行し、どの工程がどのタイミングで行われるか、リソースの割り当て、タイムライン、プロジェクトのスケジュールなどを記述する必要があります。

実行計画には、各工程やタスクの開始日、終了日、締切などを含むタイムラインやスケジュールを示します。そのほか、開発者、デザイナー、テスターなどの役割やリソースの割り当ても定義しましょう。

またリスクが発生した際の対応策や予防策なども実行計画に含まれ、プロジェクトのリスク管理に関するアプローチや対策を記述する必要があります。

システム開発の要件定義の進め方

システム開発の要件定義の進め方

システム開発の要件定義を行う際、事前に進め方を把握しておくとスムーズに開発を進められるでしょう。ここでは、システム開発の要件定義の進め方を6つのステップに分けてご紹介します。

1.課題や目標を明確にする

まずは、解決したい課題やシステム開発のきっかけとなった課題、システムを開発したあとの目標を明確にしておきましょう。

課題や目標を明確にしておくことで、システム開発を進める中で目的と大きく離れてしまうのを防げます。開発途中で調整すべきか不明な点が見つかっても、課題や目標を達成するために調整すべきか判断する際の材料にもなるでしょう。

またチーム全体で課題や目標を認知しておけば、一人ひとりの方向性の違いが生じるのを避けられます。

2.システム全体の構成を明らかにする

システムといっても、Webシステムや特定のデバイスで使用できるシステムなど、さまざまな種類があります。どのようなシステムを開発するのか、システム全体の構成を決めていきましょう。

システム全体の構成を決めていく際は、システムを作動させるデバイスの種類や、Webサーバーなどを定義します。要求定義を確認しながら決定していくことで、要望に応えながら実現可能かを判断して構成を作成できるでしょう。

また、要件定義で大きな濡れ漏れがあった場合、システム開発のミスにつながるリスクが高まります。想定していた費用よりも、割高になってしまうケースがあるので注意しましょう。

3.システムの機能要件・非機能要件を定義する

システム開発の要件は、機能要件と非機能要件の2種類に分けられます。機能要件はシステム開発に必要な機能の要件であり、非機能要件は可用性や性能など機能以外の要件のことです。

4.コミュニケーション方法を決める

相手とのコミュニケーション方法を決めます。

こちらの勘違いで特定の方法で連絡のやり取りをしても、相手が連絡を逃してコミュニケーションが成り立たない恐れがあります。そのため、お互いにコミュニケーション方法を確認しておくことで、見逃すなどの事態を避けられるでしょう。

またシステム開発では、要件定義のほかにさまざまな工程で状況確認や変更点の連絡などを行う必要がありコミュニケーションが欠かせません。スムーズなやり取りができるよう、お互いにコミュニケーションを取りやすい環境を整えることも大切です。

5.予算とスケジュールなどを見積もる

システム開発にかかる予算やスケジュール、携わるメンバーなどを決めます。

システム開発の予算は、先ほど決めたシステム全体の構成をもとに見積もります。あくまでも見積もりですが、実際の費用との差を縮めるために要件定義の段階で細かい部分まで定義しておくことがポイントです。

スケジュールを決める際には、構成からある程度の工数がわかるので、工数を算出してからスケジューリングすると良いでしょう。

ただし細かくスケジュールを決めると、少しの遅延が大きな遅延となる恐れがあります。

またシステム開発に起用するメンバーは、数が増えるほど費用に大きく影響します。優秀な人材はもちろん必要ですが、必要最低限の人数で開発を進めることで費用削減につながります。

6.要件定義書を作成する

最後に、要件定義書をつくります。具体的には、先ほど決定したシステム開発を進める上で必要な情報や予算、スケジュールなどを記載します。

要件定義書の質は、開発するシステムの質に直結するといっても過言ではありません。システム開発の計画書ともいえるほど重要なものなので、大きなミスがないか念入りに確認しておきましょう。

システム開発でよくある失敗の内、要件定義に起因する例

システム開発でよくある失敗する原因

システム開発では、何らかの原因で失敗してしまうケースがあります。失敗を防ぐために、どのような失敗事例があるか把握しておきましょう。

ここでは、システム開発でよくある失敗事例を4つ紹介します。

1.コミュニケーション不足である

コミュニケーション不足は、双方の認識の違いやシステム開発の失敗などさまざまなリスクにつながる恐れがあります。1度に長時間のコミュニケーションを行うというよりは、短時間でも良いので頻繁にコミュニケーションの時間をつくることが大切です。

お互いに認識が違いそのまま開発を進めれば、開発途中または開発後に大きな修正を行わなくてはいけないケースが考えられます。コミュニケーションの回数を減らして素早く開発できても、やり直しとなればかえって効率が悪いといえるでしょう。

2.要件定義が不十分である

要件定義が不十分であれば、必要な機能が備えられていなかったり、性能やセキュリティの精度が下がってしまったりなどの問題につながります。

想定していなかった工程が増える恐れもあり、納期や費用に大きく影響してしまうこともあります。

一方で要件定義が明確になっている場合、想定通りに開発が進み予定通り納品できるケースが多いです。見積もり時の費用との差が生じるリスクもなく、予算内に抑えられる可能性が高まります。

3.課題や目標を理解していない

開発側が課題や目標を理解できていない場合は、開発するシステムのイメージが湧きにくく、結果的にミスが生じたりやり直ししなくてはいけなかったりするケースがあります。

いくら開発経験がある方でも、ただ要求を受け入れて開発を進めるだけでは危険です。要望を取り入れながら、本当に課題が解決できるのか、目標を達成できるのか考えながら要件定義を行うことが大切です。

4.トラブル時の対応方法が決まっていない

システム開発では、優秀な人材が携わっていても決してトラブルが起きないとはいえません。

万が一構築中のシステムに不具合が起こった場合や、早急に変更すべき点がある場合などに備えて、対応方法や体制などを決めておく必要があります。

システム開発の要件定義前にやることとポイント

システム開発の要件定義前にやることとポイント

先ほどご紹介した失敗を防止するために、要件定義を行う前にやることを把握しておきましょう。ここでは、システム開発の要件定義前にやることとその後のポイントをご紹介します。

1.システム開発に必要なスキルを身につける

システム開発を行う前にある程度のスキルを身につけておくと、スムーズに開発を進められるでしょう。

システム開発で必要なスキルは、システム開発に関するITスキル・コミュニケーションスキル・スケジュール管理スキルの3つです。

システム開発の定義要件は、質の良いシステムを開発するために重要なものです。いいたいことをその場で伝えられるコミュニケーションスキルは、システム開発でとても役立つといえるでしょう。

システム開発がどの程度進んでいるか確認する際には、一定レベルのITスキルやスケジュール管理スキルが必要とされます。

2.システム開発の目的やゴールを理解する

システム開発を行う目的やゴールを明確にすることで、どのようなシステムを開発すべきか、どの機能を備えるべきかなどが明らかになるでしょう。

システム開発を外部に依頼する場合には、開発側と依頼側のどちらも開発する目的を理解しておく必要があります。ここで双方の認識に違いがあれば、依頼側が想定していたものと違ったものが完成してしまう恐れがあります。

3.フレームワークを把握する

フレームワークは、システム開発プロジェクトを効率的かつ効果的に進行するための基盤やガイドラインを提供する役割を果たします。開発プロセスが効率的に進行し、無駄な作業や遅延を減少させられる可能性があります。

フレームワークには、過去のプロジェクトから得られたベストプラクティスが組み込まれています。これにより、成功したプロジェクトの経験を活かし、同じ課題や問題に対して適切なアプローチを選択できるでしょう。

またフレームワークを把握して要件について合意を形成する際には、共通の基盤やプロセスがあることが役立ちます。結果的に、コミュニケーションの円滑化や要件の誤解を減少させられるでしょう。

4.要件定義書は細かく記載する

要件定義書には、記載しようか迷ったことも書くくらい詳細まで記載しておきましょう。

要件定義書に記載されていないことは、どうやっても伝わりません。そのため、必要最低限のものを書くよりも、余計なものまですべて書くことがポイントです。

ただし、認識の違いが生じないように、細かく記載した要件定義書をもとにコミュニケーションの場を頻繁に設けることが大切です。

5.コミュニケーションを綿密に取る

コミュニケーションを必要以上に取ることで、お互いに認識の違いが生じるのを防げます。

大きいや小さいなどの言葉は、人によって解釈が異なります。具体的に数値化されている情報以外は人によって解釈が異なると思って、コミュニケーションの回数を増やすことが大切です。

また要件定義後の開発で問題がないか、工程ごとにコミュニケーションを取るようにしましょう。その都度変更点がないかなどを確認することで、あとから大きな修正をしなければいけないという事態を少しでも防げます。

システム開発の要件定義に役立つスキル

システム開発の要件定義を行う際、事前にスキルを身につけておくことがおすすめです。まずは、どのようなスキルが必要なのかを把握しておきましょう。

ここでは、システム開発の要件定義に役立つスキルを4つご紹介します。

ITスキル

ITスキルがあれば、技術的な要求や制約を理解する力が発揮されるでしょう。

システムの機能やデータフローを理解し、技術的な制約を考慮して要件を詳細に記述できます。結果的に、システムの実現可能性や適切な技術選択を確保し、プロジェクトの成功に貢献できるでしょう。

ヒアリングスキル

ヒアリングスキルがあれば、ユーザーや関係者のニーズや要求を正確に理解できるでしょう。

適切なヒアリングにより、ユーザーの期待や課題を把握し、要件を具体的かつ詳細に記述できます。システムがユーザーに価値を提供し、ニーズに適切に応えることが可能となります。

スケジュール化スキル

スケジュール化スキルがあれば、プロジェクトの進行を管理して、タスクの実行順序や期限を適切に設定できるでしょう。

スケジュール化により、各工程やタスクの時間的な配置を明確にできます。プロジェクトの進捗をコントロールし、適切なタイミングで要件定義の完了が実現できるでしょう。

ライティングスキル

ライティングスキルがあれば、明確かつ具体的な言葉で要件を文書化できるでしょう。

適切なライティングにより、要求や仕様が誤解されずに開発者や関係者が正確な理解を得られます。システムの期待通りの機能を実現し、プロジェクトの成功につながります。

まとめ

システム開発の要件定義は、最終的に完成するシステムの品質の良し悪しに直結する重要なものです。

システム開発で失敗しないためには、要件定義の進め方を理解した上で念入りに計画することが大切です。

一方で要件定義をおろそかにしてしまうと、システム開発で失敗する、開発をやり直さなくてはいけないなどのリスクが高まってしまいます。

またシステムを開発する目的を理解したり、チームでのコミュニケーションを多く取ったりすることで、要件定義が不十分であるという問題を解決できるでしょう。

システム開発を検討している方は、本記事を参考に要件定義の進め方や流れをはじめ、失敗しないためのコツなども把握しておきましょう。