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システム構成図の見方|発注者が提案書でチェックすべき7つのポイントとRFPへの添え方【2026年版】

2026.05.13

/最終更新日:

ベンダーから届いたシステム開発の提案書。立派なバインダーに「システム構成図」や「ネットワーク構成図」が何枚も挟まっているけれど、正直、どこをどう見れば良いのか分からない ——そう感じている発注担当者の方は少なくありません。

構成図は、提案の良し悪し・リスク・運用コストの大半が凝縮された一枚です。読めないまま「なんとなく立派そう」で発注すると、後から「想定していた連携ができない」「運用は別費用と言われた」といったトラブルにつながります。

本記事では、非エンジニアの発注担当者が、提案書のシステム構成図で何を見るべきかを、システム開発会社の視点で具体的に解説します。あわせて、自社のRFP(提案依頼書)に「現状の構成図」を添えるべき理由と、その最低限の書き方も紹介します。

目次

想定読者

本記事は、次のような方を想定しています。

  • 複数のベンダーから受け取った提案書を比較・評価する立場の情シス担当者・事業責任者
  • システム開発・基幹システム刷新のRFPを作成しようとしている方
  • 構成図を「自分で描く」のではなく「提案書で受け取って判断する」必要がある方
  • 技術に詳しくないまま、構成図のレビュー会に同席することになった方

1. なぜ発注側に「構成図を読む力」が必要なのか

提案書の本文(文章)は、どのベンダーも聞こえの良い言葉で埋めてきます。差が出るのは構成図です。構成図には、文章では曖昧にできない「どのサーバーが」「どこと」「どうつながるか」が線と箱で具体的に描かれているからです。

構成図を読めると、次のことが提案書の段階で分かります。

  • 現行システムとの接続が現実的か(絵に描いた餅になっていないか)
  • どこまでが提案範囲で、どこからが追加費用か(責任分界点)
  • 障害時にどうなるか(冗長構成・バックアップの有無)
  • 運用が始まったあと誰が何を見るのか(運用・保守の体制)

逆に、構成図を読まずに発注すると、これらが「契約後に判明する」ことになります。提案書レビューは、構成図を読む数少ないチャンスです。

2. 提案書に出てくる「3種類の構成図」とその違い

「構成図」とひと口に言っても、提案書には目的の異なる図が複数入っています。まずはこの3つの違いを押さえてください。

図の名前何を表すか発注者が主に見る点
システム構成図サーバー・ミドルウェア・アプリ・外部サービスなど「システムを構成する要素」とその関係機能の置き場所・連携の有無・追加費用の境界
ネットワーク構成図ネットワーク機器・回線・セグメント・ファイアウォールなど「通信の経路」セキュリティ境界・閉域網/インターネットの別・拠点間接続
アーキテクチャ図(方式設計図)システム全体の方式・レイヤー構造・データの流れ(より抽象度が高い)設計思想・拡張性・クラウド/オンプレの方針

ベンダーによって名前の付け方や粒度はまちまちです。「これはシステム構成図ですか、ネットワーク構成図ですか」と確認するだけでも、相手の整理度が分かります。粒度が混在した一枚に全部詰め込んでいる提案書は、設計の見通しが甘い可能性があります。

3. 発注者がチェックすべき7つのポイント

構成図を渡されたら、次の7点を順番に見てください。技術用語が分からなくても、「描かれているか/描かれていないか」は誰でも判断できます。

ポイント1:現行システムとの「接続点」が描かれているか

新システムは単独では動きません。会計・販売・生産管理など、既存システムとの連携線が引かれているか。引かれていなければ「連携は別途お見積り」になりがちです。

ポイント2:データの「流れる方向」が明示されているか

線だけでなく矢印(片方向か双方向か)、何のデータが流れるか(受注データ・在庫数など)が書かれているか。方向が曖昧なまま進むと、後で「こちらから渡す前提でした」と食い違います。

ポイント3:障害時の備え(冗長構成・バックアップ)が描かれているか

サーバーが1台しか描かれていない=そのサーバーが落ちたら全停止、という意味です。冗長化(2台構成)やバックアップの保管先が図にあるか。無ければ「可用性は要件に含まれていますか」と聞きます。

ポイント4:セキュリティの「境界線」が描かれているか

インターネットと社内ネットワークの間にファイアウォールやDMZ(緩衝地帯)の枠があるか。基幹システムが直接インターネットに面している図は要注意です。

ポイント5:クラウドとオンプレミスの「境界」と、コストに効く構成

どこまでがクラウド(AWS等)で、どこからが自社設備か。クラウド側に常時稼働のサーバーがいくつ描かれているかは、毎月のランニングコストにほぼ比例します。「この常時起動のサーバーは止められませんか」は有効な質問です。

ポイント6:運用・保守の「責任分界点」が描かれているか

OS・ミドルウェア・アプリ・データ——どのレイヤーまでをベンダーが見て、どこからが自社(または別ベンダー)か。図に責任範囲の色分けや囲みがあるのが理想です。無ければ運用フェーズで揉めます。

ポイント7:移行期間中の「並行稼働」の構成が描かれているか

旧システムと新システムを一定期間並行で動かす場合、その期間だけの臨時構成(データ二重投入の経路など)が別図であるか。ここが描けているベンダーは移行のリスクを分かっています。


システム開発の提案書評価や、RFP作成にお困りでしたら、c3index にお気軽にご相談ください。発注者側の立場で構成図のレビューをお手伝いします。

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4. 自社のRFPに「現状の構成図」を添えるべき理由

提案書の構成図を「読む」だけでなく、RFPの段階で自社の現状構成図をベンダーに渡すと、提案の精度が大きく上がります。

  • ベンダーが現状を正しく理解 → 「絵に描いた餅」の提案が減る
  • 各社が同じ前提で見積もる → 提案の比較がしやすくなる
  • 連携先の漏れに気づける → 後出しの追加費用を防げる

「自社にきれいな構成図がない」場合でも、完璧なものは不要です。最低限、次の3つが描かれた手書きレベルの図で構いません。

  1. いま使っている主要なシステム(会計・販売・生産管理など)を箱で並べる
  2. それらの間でデータをやり取りしている線を引く(方向の矢印も)
  3. インターネットに面している部分と社内だけの部分を大きく囲って分ける

この3点だけでも、ベンダーの理解度と提案品質は変わります。きちんとした書き方を知りたい場合は、構成図の作り方の記事を参照してください。

5. 構成図を見て、ベンダーに聞くべき5つの質問

構成図を前に、次の質問をぶつけてみてください。答え方で力量が分かります。

  1. 「この図で、追加費用になる範囲はどこですか」
  2. 「現行の○○システムとの連携は、この提案に含まれていますか」
  3. 「このサーバーが止まったら、業務はどうなりますか」
  4. 「クラウド側で常時動くサーバーは、月いくらくらいになりますか」
  5. 「運用が始まったら、どこまでを御社が見て、どこからが当社ですか」

即答できる・図を指しながら説明できるベンダーは、設計と見積もりに整合性があります。逆に「持ち帰ります」が続く場合は、提案の中身がまだ固まっていないサインです。

よくある質問

Q. 構成図がない(または1枚だけの)提案書は、それだけで不採用にすべきですか?

A. 即不採用とまでは言えませんが、「なぜ詳細な構成図がこの段階で出せないのか」を必ず確認してください。要件が固まっていない、体制が薄い、といった理由が背景にあることが多いです。少なくとも、構成図が充実している他社と同じ土俵では比較できません。

Q. 技術がまったく分からなくても、構成図のレビューに参加する意味はありますか?

A. あります。本記事の7つのポイントは、技術知識ではなく「描かれているか/いないか」「矢印の向き」「囲みの有無」を見るだけです。むしろ業務を知っている発注側だからこそ「この連携先が抜けている」と気づけることが多いです。

Q. 現状の構成図を作る時間がありません。どうすれば?

A. 完璧な図は不要です。主要システムを箱で並べ、データのやり取りに線を引き、社内/社外を大きく囲う——この3ステップを30分で手書きするだけでも、ベンダーの提案精度は上がります。清書はベンダーや支援会社に依頼しても構いません。

Q. ベンダーごとに構成図の書き方がバラバラで比較できません。

A. それ自体が一つの情報です。RFPで「システム構成図・ネットワーク構成図・運用責任分界を含めること」と様式を指定すると、各社が同じ観点で描いてくるので比較しやすくなります。


まとめ

本記事のポイントをまとめます。

  • 提案書の構成図には、提案のリスク・追加費用・運用体制の大半が凝縮されている。読めないまま発注しない
  • 「システム構成図/ネットワーク構成図/アーキテクチャ図」は目的が違う。混在した一枚は設計の見通しが甘いサイン
  • 発注者は7つのポイント(現行連携・データの向き・冗長構成・セキュリティ境界・クラウド/オンプレ境界・責任分界点・並行稼働)を「描かれているか」で見るだけでよい
  • RFPには自社の現状構成図を添える。完璧でなくても「主要システム・データの線・社内外の囲み」の3点でベンダーの提案精度が上がる
  • 構成図を指しながら5つの質問をぶつけ、答え方でベンダーの力量を見極める

提案書の評価やRFP作成、現状構成図の整理にお困りの際は、ぜひ c3index にご相談ください。発注者側に立って、構成図のレビューから要件の言語化までをご支援します。


システム開発の発注・ベンダー選定でお悩みなら、まずは c3index の無料相談へ。
提案書の構成図レビュー、RFP作成支援、現状システムの可視化まで、発注者の立場でサポートします。

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