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アプリ保守の費用の相場を内訳別に紹介|維持費用を抑える方法は?

2023.08.09

アプリを開発するとき、開発費用だけではなく開発後の保守費用も把握しておく必要があります。

とはいえアプリ開発を検討している方の中には、「保守にかかる費用の相場がわからない」「いくらあればアプリを維持できるの」と疑問を抱えている方もいるでしょう。

そこで本記事では、アプリ保守の役割をはじめ、保守にかかる費用の相場を紹介します。

記事終盤では、アプリのいじ費用を抑える方法についてもお伝えするので、アプリを開発したいが予算が限られているという方はぜひ参考にしてください。

アプリの保守とは?

アプリ保守は、アプリの継続的な正常動作と品質の確保を目的として行われる活動です。保守作業は通常、アプリの開発チームや運用チームによって行われます。

主な目的は、アプリのバグ修正、セキュリティの維持、アップデートの適用、データベースのメンテナンスなどです。アプリ保守には、アプリの安定性と信頼性を維持し、ユーザーの利便性と満足度を高めるための作業が含まれます。

アプリ運用との違い

アプリ運用は、アプリの実際の運用活動と関連します。アプリのデプロイメント、インフラストラクチャの管理、サーバーの監視、パフォーマンスの最適化、トラブルシューティングなどが含まれます。

アプリ運用は、アプリが順調に稼働し続けるようにするために必要なタスクを実行することを目的としています。

アプリ保守はアプリの品質と機能を維持するための作業を指し、アプリ運用はアプリの実際の運用を管理する作業のことです。どちらもアプリの安定性とユーザー満足度を向上させるために重要ですが、役割や焦点が異なります。

アプリ保守の役割

アプリの保守作業を行う前に、役割について理解しておきましょう。

ここでは、アプリ保守の役割を4つご紹介します。

障害を見つけて復旧する

アプリ保守では、アプリ内で発生する恐れのある障害や問題を検出することが重要です。これは、ユーザーからのフィードバック、エラーレポート、監視ツールやログの分析などによって行われます。障害は、バグ、エラー、機能の不具合、パフォーマンスの低下など、さまざまな形で現れる恐れがあります。

障害を検出した後は、その原因を特定するために診断作業が行われます。診断作業の目的は、障害の根本的な原因を特定し、修復のための正確なアプローチを見つけることです。

また障害を特定できたら、修正して復旧するための作業が行われます。この作業には、バグ修正、エラーハンドリングの改善、不具合の修正、セキュリティパッチの適用、データの修復などが含まれます。

アプリ自体の改善点を探して実行する

アプリ保守では、ユーザーからのフィードバックを収集し、アプリの改善点を把握することが大切です。ユーザーフィードバックは、アプリの問題や不具合、要望、改善のアイデアなどを含むことがあります。アプリの利用統計や分析データも改善点を見つけるためにも重要です。

収集したフィードバックや分析結果を基に、アプリの品質向上を図ります。アプリの品質向上は、ユーザーエクスペリエンスの向上と競合他社との差別化につながるでしょう。

またアプリのパフォーマンスを改善する作業には、リソースの最適化、処理速度の向上、メモリ使用量の最適化、ネットワーク通信の最適化などが含まれます。パフォーマンスの改善は、ユーザー体験の向上とアプリの応答性の向上に貢献します。

改善点を実装する前には、ユニットテスト、統合テスト、UIテストなどのテスト活動や、品質基準の策定と監視、バグトラッキングシステムの管理などを行いましょう。テストと品質管理は、アプリの安定性と品質を確保するために重要です。

OSの更新

OSは、モバイルデバイスやコンピュータなどの基盤となるソフトウェアです。OSの更新は、新たな機能の追加や修正、セキュリティの向上、パフォーマンスの最適化などの改善点を含んでいます。

更新を行う前に、新しいOSへのアップデートやパッチ適用が、既存のアプリとの互換性を保てるかを確認します。互換性の問題がある場合、アプリの修正や調整が必要になる場合があるでしょう。

OSの更新には、セキュリティパッチや脆弱性の修正が含まれるケースがあります。最新のOSへの移行やセキュリティパッチの適用を通じて、アプリのセキュリティを強化する役割を果たします。

新機能を追加する

アプリ保守では、ユーザーのフィードバックや要望を収集し、新機能の追加に関するニーズや要件を把握することが大切です。ユーザーからのフィードバック、市場調査、競合分析などが活用されます。ユーザーニーズの把握は、アプリの改善とユーザー満足度の向上につながるでしょう。

把握したユーザーニーズを基に、機能の優先順位付け、要件定義、設計ドキュメントの作成などを行います。機能の計画と設計は、開発チームや関係者との協力やコミュニケーションが重要です。

追加する新機能が決まれば、プログラミングやコーディング、テスト、デバッグなどの作業に進みます。新機能の追加後は、ユーザーテストを実施し、機能の動作とユーザーエクスペリエンスを確認する必要があります。

テストをクリアできたら、アプリのリリースを行います。リリース後は、新機能のパフォーマンスや利用状況を監視し、必要に応じて修正や改善を行いましょう。

アプリの保守にかかる費用の相場は?

アプリ開発を行う前に、保守にどれくらいの費用がかかるのか確認しておきましょう。

ここでは、アプリの保守にかかる費用の相場を内訳別にご紹介します。

​​人件費

アプリ保守にかかる人件費は、システムエンジニアのレベルによって変動します。

初級システムエンジニアの場合、月60万円~100万円ほどが相場です。1人あたり100万円以内で抑えたい方は、初級システムエンジニアの雇用を検討すると良いでしょう。

中級システムエンジニアの場合は月80万円~120万円ほど、上級システムエンジニアの場合は月120万円~160万円ほどが相場です。レベルが高くなると、1人あたり100万円を超えるケースが多数あります。

プログラマーの場合は、月50万円~100万円ほどが相場です。システム全体ではなく、バグの修正や更新時だけと担当が限定される場合は、プログラマーの選択もおすすめです。

OSを更新する費用

OSを更新する際の費用は、月3万円〜5万円ほどが相場です。セキュリティの確保と向上を測りたい場合は、OSの更新費用が高くなるケースがあります。

アプリで顧客の個人情報を扱うケースでは、セキュリティ面で妥協しないことが重要です。更新を怠ったり、セキュリティの精度が落ちたりすると、顧客満足度にも影響してしまう恐れがあります。

問題やエラーを解消する費用

問題やエラーを解消する際の費用は、10万円ほどが相場です。エラーが起きてからすぐに対応できるように、24時間365日間の監視体制を整えると、さらに費用が高くなるケースがあります。

新機能を追加する費用

機能の種類によって、追加費用が異なります。たとえば、メールアドレスによるログイン機能を追加する場合は、20万円〜40万円ほどが相場です。SNSアカウントとの連携によるログイン機能を追加する場合は、10万円〜25万円ほどかかります。

この先どのような機能を追加する可能性があるのか明確にすると、予算決定の判断材料となるでしょう。

サーバーとドメインを更新する費用

アプリ開発時、レンタルサーバーの費用がかかるケースがあります。費用は一般的に月額や年額で設定されていることが多く、1,000円〜2,000円台から利用できるものがあります。

またWebアプリを開発する場合、ドメインを取得し、更新する費用を支払うことが必要です。ドメインの契約年数や種類によって費用が異なりますが、一般的には年額1,000円〜2,000円ほどであるものがほとんどです。

ただし、モバイルアプリを開発する場合は、ドメインの取得が必要ありません。

アプリの維持費用を抑える方法

アプリの保守にかかる費用を抑えたい方は、維持費用を節約する方法を確認しておきましょう。

ここでは、アプリの維持費用を抑える方法を3つご紹介します。

不要な機能を除く

アプリ保守では、アプリ内の機能を評価し、その重要性や必要性を考慮して優先順位をつけましょう。不要と判断される機能は、維持や改善に費用がかかるため、削除の候補となります。

ユーザーの使用状況を分析し、どの機能が実際に利用されているかを把握することも重要です。使用頻度の低い機能やほとんど使用されていない機能は、不要な可能性が高いです。

不要な機能を特定したら、それらをアプリから削除します。機能だけではなく、関連するコードやリソースの削除、関連するユーザーインターフェースの削除なども含まれます。ただし、慎重に検討し、ユーザーにとって重要な機能を削除しないように注意しましょう。

また不要な機能を除去する前に、ほかの機能やアプリの動作に影響を与えないかどうかを評価してテストを行います。機能の除去によって予期せぬ問題が発生しないことを確認することがポイントです。

自社で対応できるところを見極める

自社で対応できる箇所が多ければ多いほど、外部委託する箇所が減るため、維持費用の削減につながります。ただし、専門的な作業や知識が必要な作業は、プロに任せる選択がおすすめです。

自社でアプリの保守や修正を行うためには、必要なスキルとリソースを評価する必要があります。開発チームや技術者の能力や経験、必要なツールやインフラストラクチャなど、自社で必要な要素を確認しましょう。

また自社で対応する場合、持続的な監視と改善を行う必要があります。障害や不具合の発生やパフォーマンスの問題を監視し、必要に応じて修正や最適化を行います。このような活動を通じて、アプリの品質と効率性を維持し、維持費用を最小限に抑えられるでしょう。

相見積もりを行う

相見積もりを行うためには、複数のアプリ保守サービスプロバイダーや開発パートナーに見積もりを依頼しましょう。異なる提案や価格設定の比較が可能となります。提案を入手する際に明確な要件やスコープを提供することが重要です。

見積もり結果を比較し、費用と提供されるサービス内容を評価します。提案された費用には、保守作業、修正作業、緊急対応、ユーザーサポートなどの項目が含まれているかを確認しましょう。費用だけではなく、サービス内容や提供される品質、対応時間なども重要な要素です。

また提案を比較するだけでなく、契約条件や利用規約を確認しましょう。契約期間、支払い方法など、重要な契約条件を把握する必要があります。見積もり内容が変更するケースを加味し、追加費用や契約解除に関する条件なども確認しておきましょう。

提案の比較と評価を踏まえて、交渉を行い最適なパートナーを選定します。価格の交渉や契約条件の調整などを通じて、コストを最小化し、必要なサービスと品質を確保することが目標です。契約後も、継続的なコミュニケーションとパートナーシップの構築を重視します。

サーバーレス環境を整える

サーバーレスアーキテクチャには、物理的なサーバーを運用・管理する必要がなく、アプリの実行に必要なバックエンドサービスをクラウドが自動的に提供します。サーバーの設定、管理、スケーリングなどの複雑な運用業務から解放されるため、運用コストと労力が削減されるでしょう。

代表的なサーバーレス環境を提供しているAWSは、実際に使用したリソースのみに対して課金される仕組みとなっています。従来のサーバーを常時稼働させる場合に比べると、コストを大幅に削減できる可能性があります。

サーバーの設定や管理にかかる時間が削減されるため、開発者はアプリの機能開発に集中できるでしょう。

またサーバーレス環境では、パフォーマンスの最適化とセキュリティ対策も重要です。応答時間の短縮やセキュリティの強化に取り組みましょう。

アプリの保守は外部に委託できる!

アプリの保守は、AWSに精通した専門家に外部委託できます。AWSの保守サービスや費用について詳しいので、委託したほうが費用を抑えられるケースがあります。

外部委託のメリット

ここでは、アプリの保守を外部委託するメリットを3つご紹介します。

無駄な費用を削減できる

外部委託することで、社内の開発チームがアプリの日常的な保守作業に多くの時間を割く必要がなくなります。その結果、より重要な業務や革新的なプロジェクトに集中できるようになるでしょう。

多くの会社では、需要の増減に応じてサービス契約を柔軟に調整できるため、固定費の削減につながるでしょう。適切なサービスを利用できているかを見極めてもらうことで、コストを最適化できます。

人材確保の時間を省ける

外部委託サービスを行っている会社では、アプリ保守に必要な専門知識とスキルを持った人材をすでに抱えています。そのため、社内で適切な人材を募集、採用、トレーニングするためにかかる時間とコストを節約できます。

優秀な技術者を採用するためのプロセスは通常、時間がかかり複雑です。選考、面接、評価などの手間がかかりますが、外部委託することで即座にサービスを受けられます。

またIT分野では人材の流動性が高く、優秀なスタッフの継続的な確保が難しいケースがあります。外部委託により、社内の人員変動に左右されることなく、一貫したサービス品質を保持できるでしょう。

人材確保にかかる時間を省けることで、社内リソースと注意を他の戦略的な業務や核となるプロジェクトに集中できます。需要に応じて外部サービスの規模を調整できるため、内部チームよりも柔軟に人員を調整できるでしょう

セキュリティのリスクを軽減できる

専門的な知識を持つ外部サービスプロバイダーが、アプリのセキュリティ管理と保守を行うことで、セキュリティリスクを減らせます。一般的に、最新のセキュリティ脅威や対策に関する専門的な知識を持っているので安心です。

セキュリティ専門家による保守は、アプリケーションの脆弱性を効果的に特定し、修正することができます。セキュリティは継続的な注意と更新が必要なので、24時間365日の監視体制が整っているところがおすすめです。

外部委託する際のポイント

アプリの保守を外部委託する際、いくつかポイントを把握しておくことが大切です。ここでは、外部委託するときのポイントを4つご紹介します。

依頼する範囲を明確にする

依頼する範囲の明確化は、サービス提供者との正確なコミュニケーションを確保し、期待と実際のサービスの不一致を防ぐために必要です。依頼範囲が明確であれば、サービス提供者とのコミュニケーションがスムーズになり、誤解や誤った期待を防げるでしょう。

サービスの範囲が明確であれば、コストを正確に見積もり予算管理がしやすくなります。そのほか、明確な範囲と指標に基づいて、提供されるサービスの品質を評価しやすくなるでしょう。

予算内におさめる

コスト管理を効果的に行い、予算オーバーを避けるために予算内におさめるようにしましょう。明確な予算設定は、アプリ保守に関連する総コストを管理し、不必要な支出を防ぐのに役立ちます。

予算内で保守を行うことで、会社全体の財務計画の安定性を維持できます。予算に基づいてサービスを計画すると、利用可能な資源を最も効果的に活用できるでしょう。

また委託先を決めるとき、複数の会社から見積もりを取得し、コストとサービス内容を比較することがポイントです。その際、実際に必要なサービス項目を特定し、不要なサービスは排除しましょう。

対応可能な時間を確認する

アプリの稼働と保守のニーズに応じたサービスを受けるために、対応可能な時間を確認することが大切です。アプリが24時間稼働している場合、障害や問題がいつ発生しても即座に対応できるサポートが必要です。

また緊急時の連絡手段やプロトコルを事前に確認し、どのように問題報告を行うかを明確にすることも大切です。電話だけではなく、メールやチャットでのやり取りも可能であるか確認しましょう。

適切な契約期間であるか確認する

契約期間は、サービスの質、コスト、ビジネスの柔軟性に大きな影響を及ぼします。

短期間の契約は柔軟性が高く、長期契約は安定したサービスを保証します。ただし、初期コストが高くなる恐れがあるでしょう。

一方で長期契約は、単位あたりのコストが低くなる傾向があります。契約期間が長すぎる場合、サービス内容が自社に合わないと感じても、すぐ契約を解除できないケースがあります。

柔軟性と安定性のバランスを考慮し、契約期間を検討しましょう。短期契約と長期契約のコスト対効果を比較検討し、予算とビジネス目標に合ったものを選ぶことがポイントです。

まとめ

アプリの保守と維持には、アプリ運用とは異なる役割と費用がかかります。

アプリ保守の役割には、障害の復旧、改善点の実行、OSの更新、新機能の追加などがあります。これらの役割には人件費や開発費などの費用がかかりますが、相場はケースバイケースです。

アプリの維持費用を抑える方法としては、不要な機能を除く、自社で対応できる範囲を見極める、相見積もりを行うなどがあります。これらの方法を適切に活用することで、維持費用を最適化し、アプリの品質と効率性を確保できるでしょう。