RPA(ロボティックプロセスオートメーション)とは?メリットや注意点を紹介
RPA(ロボティックプロセスオートメーション)とは、ロボットを使って、反復的な業務を自動化できる技術です。
本記事では、RPAについて、なぜ普及しているのか、導入するメリットや注意点を解説するので、RPAの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
RPA(ロボティックプロセスオートメーション)とは?簡単に解説
RPAは、ソフトウェアロボットやデジタルボットを使用して、反復的でルーティン的な業務プロセスを自動化する技術のことです。
この自動化技術は、ルールに基づいたタスクや手順を模倣し、人間が通常行う作業を迅速かつ効率的に行うことができます。
意味
RPAは、組織内の業務効率を向上させ、エラーを減らし、従業員がより付加価値の高い業務に集中できるようにするために使用されます。
具体的な活用例として、データ入力、フォームの自動記入、電子メールの自動送信、データ集計、レポート作成などが挙げられます。
RPAは従来のITプロジェクトに比べ、導入が比較的容易で、柔軟性が高い点が特徴です。通常、プログラミングのスキルを必要とせず、GUIを用いて自動化フローを設定できるでしょう。
仕組み
RPAの仕組みは、ソフトウェアロボットを用いて、人間が通常行う定型的なタスクやプロセスを模倣し、自動化することにあります。RPAの背後にある基本的な技術やプロセスを説明します。
RPAの中心にあるのは、ソフトウェアロボット、またはデジタルボットと呼ばれるものです。従来のプログラムと異なり、ユーザーインターフェースを通じて作業を行うことが可能です。
つまり、ボットは人間が通常使うアプリケーションやシステムと同じように操作できます。
RPAが普及した背景
ここでは、RPAがなぜ普及しているのか、4つの背景について解説します。
1. 労働人口が減少している
多くの先進国では、出生率が低下し、平均寿命が延びているため、労働人口の割合が減少しています。若年層が減り、高齢者が増えることで、労働力が不足し、労働市場におけるスキルギャップが生じるでしょう。
高齢化に伴い、多くの人々が退職するため、労働力の喪失が進行しています。この結果、企業は生産性を維持しながら、労働力不足に対応する必要があります。
RPAは、労働力を多く必要とする反復的でルーティン的なタスクを自動化できます。これにより、企業は限られた労働力をより付加価値の高い業務に割り当てることが可能です。
また、自動化によって、同じ作業をより迅速かつ正確に行えるため、生産性が向上します。労働力不足を補うための重要な手段となるでしょう。
2. ブルーカラーが生産向上した
ブルーカラー労働は、主に製造業、建設業、物流、農業など、肉体労働を含む職種を指します。これらの職業は、伝統的に手作業や機械操作に依存する部分が多く、労働力の効率と生産性が重要な要素となります。
製造業や物流などの分野では、自動化技術の進展が顕著です。RPAのようなロボット工学や機械学習の進化により、反復的で単純な作業が自動化され、生産性が向上しました。これにより、少ない労働力で多くの生産を実現できるようになりました。
また、RPAによって事務作業が効率化されると、ブルーカラー労働者は生産や物流に専念できるようになります。これにより、全体的な労働力の最適化と生産性向上が実現します。
3. プログラミングが必須というわけではない
RPAツールは、従来のソフトウェア開発のように高度なプログラミングスキルを必要とせず、ノーコードやローコードの環境を提供します。そのため、ビジネス部門や現場の担当者でも、専門的なプログラミングスキルなしで自動化の構築が可能です。
プログラミングが不要なため、RPAの導入や開発に要する時間が大幅に短縮されました。これにより、企業は迅速に自動化プロジェクトを開始し、短期間で効果を実感できるようになっているでしょう。
4. 費用対効果がわかりやすい
RPAは、人が行う反復的なタスクを自動化するため、労働力の負担を軽減し、人件費を削減することができます。
たとえば、データ入力、書類の処理、報告書の作成など、手動で行うと時間と労力がかかる作業を、RPAによって効率的に処理することができます。これにより、企業は人件費を削減し、他の重要な業務にリソースを集中させることが可能です。
RPAは24時間365日稼働でき、エラーのリスクを最小限に抑えます。業務プロセスの速度が向上し、生産性が高まるでしょう。
また、RPAの導入には初期コストが必要ですが、その効果はすぐに現れるケースが多いです。人件費の削減、生産性の向上、エラーの減少などにより、短期間で投資を回収できることが多く、ROIが高まります。
RPAを導入するメリット
ここでは、RPAを導入するメリットを4つご紹介します。
1. 業務の効率化と品質の向上
RPAは、人間が行う反復的なタスクを自動化することで、労働力コストを削減します。従業員の給与や手当、社会保険費用などの直接的なコストだけでなく、作業ミスによる追加コストや再作業のリスクも軽減できるでしょう。
RPAは、プログラミングを必要としないノーコード/ローコード環境を活用することで、導入期間が短縮されます。そのため、投資に対するリターンが迅速に見込めることが多く、ROIを容易に計算できます。
2. 人的ミスの防止
RPAの導入により、データ入力や整理、レポート作成、メール送信などの業務が自動化されることで、従業員はより付加価値の高いタスクに集中できるようになるでしょう。
また、手作業に比べて作業時間を大幅に短縮できます。ソフトウェアロボットは、人間よりも速く作業を行えるため、短時間で多くの仕事をこなすことが可能です。
業務の自動化により、従業員の労働時間自体も削減できる可能性があります。RPAは24時間365日稼働できるため、シフト勤務や追加労働力の減少につながります。
3. コスト削減
RPAは、反復的でルーティン的なタスクを自動化するため、人間の労働力を削減できます。これにより、従業員の給与や手当、社会保険費用などの直接的な労働力コストの削減につながるでしょう。
RPAの導入は、直接的なコスト削減だけでなく、間接的なコスト削減にも貢献します。
たとえば、ビジネスの成長や変化に合わせて容易にスケーリングしてリソースを効率的に配分したり、ノーコード/ローコードの環境によりIT部門の負担を軽減してリソースの最適化ができたりとさまざまなメリットがあります。
4. ほかの業務に時間を割ける
RPAは、日常的に行われる反復的なタスクを自動化するので、従業員がルーティン業務に費やす時間が削減され、ほかの重要な業務に時間を使えるようになります。
また、定期的なレポート作成が多い企業の場合、RPAの導入によって、レポート作成が自動化され、従業員はほかの分析や戦略的な業務に時間を割けるようになるでしょう。
具体的には、顧客対応や問題解決、戦略的業務に力を入れられるので、結果的に顧客満足度の向上や新規顧客の獲得にもつながる可能性があります。
RPAを導入する際の注意点
ここでは、RPAを導入する際の注意点を2つご紹介します。
1. 停止する場合がある
RPAは、特定のソフトウェアやシステムと連携して動作することが多いため、システムのアップデートや変更によって、RPAが正しく機能しなくなる可能性があります。
また、サーバーの移行、ネットワークの変更、アクセス権限の変更など、RPAの実行環境に影響を与える変化によって、RPAが停止する場合があります。
RPAは、予期せぬエラーや例外に対して十分な処理を行わないと、停止してしまうことがあるでしょう。 RPAがほかのシステムや外部サービスに依存している場合、障害や応答遅延によって、RPAが正常に動作しなくなる可能性があります。
予期せぬ停止を阻止するためには、RPAの導入後も、定期的なメンテナンスと監視を行い、異常やエラーを早期に検知して対処することが大切です。ログの監視や自動通知システムなどを活用すると良いでしょう。
2. 管理しきれない恐れがある
RPAが短期間で急速に導入された場合、適切な管理体制が整わず、ロボットの動作状況や運用ルールが不明確になるケースがあります。
また、組織内の異なる部門で個別にRPAが導入されると、全体的な管理が難しくなり、RPAの動作状況を一元的に把握することが困難になります。RPAの使用が拡大するにつれて、ロボットの数やタスクの量が増加し、管理が複雑化するでしょう。
RPAを導入するときは、RPAの導入と運用を一元的に管理するための専用チームやリーダーを設置すると良いでしょう。RPAの全体的な動作状況を把握し、問題が発生したときに迅速に対処できるようになります。
そのほか、RPAの導入と運用に関するガバナンスとポリシーを確立し、従業員がそれに従うようにする環境を整えると良いでしょう。具体的には、RPAの使用範囲、セキュリティ、監視、およびエラー処理に関する規定が含まれます。
RPAの設定やプロセスを十分に文書化したものがあれば、従業員に対して適切なトレーニングを提供できるでしょう。RPAの変更や拡張が必要になったときに、円滑に進められるようになります。
おすすめのRPAツール
ここでは、おすすめのRPAツールを3つご紹介します。
Power Automate
Power Automateは、Microsoftによって提供されるクラウドベースのサービスです。
Power Automateを使用することで、ユーザーは異なるアプリケーションやサービス間でタスクやプロセスを自動化し、効率を向上させることができます。
Power Automateには多数のテンプレートが用意されており、これを利用することで簡単に自動化ワークフローの作成が可能です。
また、Salesforce、Dropbox、Google Servicesなどとの連携が可能なコネクタが提供されています。
条件に応じた処理やループ処理を簡単に設定でき、特定の条件が満たされたときに通知やアラートを送る機能を活用できます。
AIモデルを簡単に統合できるので、データ処理や予測分析を自動化する際に便利です。
Win Actor
WinActorは、NTTデータが開発した日本発のRPAツールです。
主に、業務プロセスの自動化を目的としており、日常的なルーチンタスクを自動化することで、作業効率を向上させられます。
プログラミングの知識がなくても使えるインターフェースを提供しており、さまざまな業務シナリオもあらかじめ用意されているので、簡単にカスタマイズが可能です。
また、Microsoft Office、Webアプリケーション、ERPシステムなど、さまざまなアプリケーションとの連携できます。
画面キャプチャを元にシナリオを自動生成する機能があり、迅速なシナリオ作成をサポートします。
UIPath
UiPathは、企業が繰り返しの多いタスクを自動化し効率を向上させるRPAツールです。
ドラッグ&ドロップベースのビジュアルデザインツールにより、コード不要でワークフローを作成できます。
文書理解や画像認識、自然言語処理などのAI機能を統合しているので、高度な自動化を実現できるでしょう。
また、エンタープライズレベルのセキュリティ機能を備え、データの安全性を確保したい場合におすすめです。
クラウドベースでもオンプレミスでも利用可能なので、柔軟な展開が可能です。
まとめ
RPAは、ロボットを活用して反復的な業務を自動化する技術です。
労働人口の減少や生産性の向上、プログラミング不要で費用対効果が明確なことから、RPAを導入する企業が増えています。
導入によって、業務の効率化と品質向上、人的ミス防止、コスト削減など多くのメリットが得られ、従業員がより付加価値の高い業務に集中できるようになります。
しかし、システムの変更や環境変化などによる停止リスク、RPAが増えるにつれ管理が難しくなるリスクがゼロではありません。そのためリスクに対しては、継続的なメンテナンスや監視などの対策を行うことが重要です。