AS/400(IBM i)サポート終了はいつ?バージョン別の期限一覧と判断基準【2026年版】
「AS/400は2025年にサポートが終了する」——そう聞いて動き出した情シスの方は少なくないと思います。しかしこの認識は正確ではありません。実際にいま迫っているのは 2026年9月30日 という期限であり、しかもこの日は IBM i 7.3 の延長サポート終了と、IBM i 7.4 の標準サポート終了が同時に訪れる日 です。7.4はまだ現役だと考えていた企業にとっては、想定より早い期限です。
本記事では、AS/400(IBM i)のサポート終了について、バージョン別の正確な期限と、OSだけでなくハードウェア側にも存在する期限、そして 延長サポートを買うか移行に踏み切るかの判断基準 を整理します。移行の具体的な進め方や費用相場は別記事に譲り、ここでは「いつまでに、何を決めなければならないのか」に絞って解説します。
目次
想定読者
本記事は、次のような方を想定しています。
- AS/400(IBM i)で基幹システムを運用しており、サポート期限を正確に把握したい製造業の情シス担当者
- 「2025年問題」「2026年問題」と聞いたが、自社にいつ何が起きるのか整理できていない方
- 延長サポートを買い続けるか、移行に踏み切るかを社内で判断する必要がある方
- ベンダーから更新提案を受けたが、その提案が妥当か自分で検証したい方
AS/400のサポート終了は「2025年」ではない
まず誤解を解いておきます。「AS/400が2025年にサポート終了する」という単一の期限は存在しません。
この誤解が広まった背景には、2つの別々の話が混ざっていることがあります。
ひとつは、経済産業省が『DXレポート』で示した 「2025年の崖」 です。これは特定製品のサポート終了日ではなく、老朽化した基幹システム・IT人材不足・技術的負債が2025年前後に一斉に顕在化するという、日本のIT産業全体に対する警告でした。AS/400固有の話ではありません。
もうひとつは、IBM i のバージョンごとに設定された個別のサポート期限 です。こちらは実在する日付ですが、「AS/400」という括りではなく「IBM i 7.3」「IBM i 7.4」といったバージョン単位で決まっています。
つまり、自社の期限を知るには 「うちはIBM iの何を使っているか」 を特定する必要があります。ここを曖昧にしたまま「2025年らしい」「2026年らしい」と議論しても、判断は前に進みません。
バージョン別に見るIBM iのサポート期限
IBM i のサポートは、大きく3つの段階に分かれています。
- 標準サポート(プログラム・サービス):通常のサポート。修正プログラムやセキュリティ更新が提供される
- 延長サポート(Service Extension / Back-level Program Support Service):標準サポート終了後、有償で一定期間延長するもの。追加費用が発生する
- 延長サポートの終了:これ以降はIBMからの公式サポートが受けられない
主要バージョンの期限を整理すると次のようになります。
| バージョン | 標準サポート終了 | 延長サポート | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| IBM i 7.2 | 終了済み | 終了済み | 公式サポートなし。早急な対応が必要 |
| IBM i 7.3 | 2023年9月30日(終了済み) | 2026年9月30日まで(第1期)/以降2028年9月30日まで延長可 | すでに有償延長で運用中の状態 |
| IBM i 7.4 | 2026年9月30日 | 2026年10月1日〜2029年9月30日 | これから期限を迎える。要注意 |
| IBM i 7.5 | 未発表 | ー | 当面は継続。IBMは1年以上前に告知するとしている |
| IBM i 7.6 | 未発表 | ー | 最新バージョン。移行先の候補 |
ここで押さえておきたいのは、IBMはIBM iというプラットフォーム自体を廃止する予定を示していないという点です。IBMは長期のロードマップを公表しており、「AS/400というプラットフォームが消滅する」わけではありません。終わるのは特定バージョンのサポートです。
この区別は判断に直結します。プラットフォームごと捨てる必要があるのか、バージョンを上げれば済むのか——両者はコストも期間もまったく異なります。
なお、上記の日付はIBMの発表に基づく整理ですが、最終的には必ずIBM公式のサポート情報、または保守を委託しているベンダーに自社の構成で確認してください。同じ「7.3」でも契約形態によって適用される期限が異なる場合があります。
2026年9月30日は、7.3と7.4に同時に訪れる期限
表を見て気づいた方もいると思いますが、2026年9月30日には性質の異なる2つの期限が重なっています。
IBM i 7.3を使っている場合 — すでに標準サポートは2023年に終了しており、いまは有償の延長サポートで運用している状態です。その第1期が2026年9月30日で切れます。以降も延長を続けること自体は可能ですが、延長サポートの費用は標準サポートより高く設定されており、期間が延びるほど負担が増していきます。
IBM i 7.4を使っている場合 — こちらはこれまで標準サポートの範囲内でした。それが2026年9月30日で終了し、10月1日以降は有償の延長サポートに切り替わります。つまり 「これまで追加費用なしで受けられていたサポートが、有償になる」 という変化が起きます。
実務上やっかいなのは後者です。7.3ユーザーは「延長で凌いでいる」という自覚があるため対応が進みやすい一方、7.4ユーザーは「まだ現役のバージョンだから大丈夫」と考えていることが多く、期限に気づくのが遅れがちです。
もし自社が7.4で、かつ「2025年問題は関係ない」と判断して検討を止めていたなら、いま優先度を上げるべき状況にあります。
OSだけではない — Powerハードウェアにも期限がある
もうひとつ見落とされやすいのが、OSとハードウェアで期限が別々に設定されているという点です。
IBM i は Power サーバー上で動作しますが、このハードウェア側にもメーカー保守の終了時期があります。
- Power7 世代:メーカー保守はすでに終了しています
- Power8 世代:モデルごとに順次メーカー保守が終了しています(同じPower8でもモデルによって日付が異なります)
- Power9 世代:標準サポートの終了が進行しており、保守終了が視野に入っています
- Power10 以降:継続してサポートされています
ここで注意が必要なのは、Power8・Power9は「モデル単位」で終了日が設定されており、一律の日付が存在しないことです。「Power8だから何年まで」と一般化できないため、自社の機種名(マシンタイプ・モデル)を控えたうえで、IBMまたは保守ベンダーに個別に確認する必要があります。
ハードウェアの保守が終了すると、予防保守・部品交換・修正の提供が受けられなくなります。OSのサポート期限より先にハードウェアの保守が切れるケースもあるため、「OSは7.5に上げたから安心」と考えていると、ハード起因の障害で長期停止するリスクが残ります。
OSとハードの両方について、次の2点を必ずセットで確認してください。
- 現在稼働しているIBM iのバージョン(7.3 / 7.4 / 7.5 など)
- 現在稼働しているPowerサーバーのマシンタイプ・モデルと、その保守終了時期
AS/400の期限確認や、移行すべきかどうかの判断でお困りでしたら、c3index にお気軽にご相談ください。
延長サポートを買うか、移行するか
期限が分かったら、次は「延長を買うか、移行するか」の判断です。ここを感覚で決めると、あとから高くつきます。
延長サポートは「時間を買う」手段であって、問題の解決ではありません。延長を選ぶべきなのは、移行の計画がすでにあり、その完了までの期間を埋める必要がある場合です。逆に、移行の計画がないまま延長を繰り返すのは、費用を払いながら問題を先送りしているだけになります。
判断を分けるポイントを整理します。
| 状況 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 移行計画があり、完了まで1〜2年かかる | 延長サポートで期間を確保 | 移行完了までの空白を埋める合理的な支出 |
| 移行先も方式も未決定 | まず現状把握と方式決定 | 延長を買っても検討が進まなければ翌年に同じ議論を繰り返すだけになる |
| ハードの保守終了がOSより先に来る | ハード更改を優先検討 | OSだけ延長しても停止リスクが残る |
| 業務要件の変更予定がある | 移行とあわせて検討 | 移行は業務を見直す数少ない機会になる |
| 延長費用が移行費用の相当割合に達している | 移行へ切り替え | 支払っても資産が残らない |
移行プロジェクトは、計画から本番稼働まで1〜3年かかるのが一般的です。 2026年9月30日の期限に対して、いまから全面移行を完了させるのは現実的ではありません。したがって多くの企業にとって現実的な選択は、「延長サポートで期間を確保しつつ、その間に移行を進める」 という組み合わせになります。
重要なのは、延長を買うと決めた時点で、その期間内に何をどこまで進めるかを同時に決めておくことです。それがないまま延長だけを更新すると、次の期限でまったく同じ議論を繰り返すことになります。
なお、移行方式の選択肢(そのまま移す/作り替える/パッケージに乗り換える等)と、それぞれの費用相場・5年間のTCO試算については、別記事で詳しく整理しています。
残り期間別に、いま何をすべきか
期限までの残り期間によって、取るべき行動は変わります。
期限まで1年未満の場合
全面移行は間に合いません。延長サポートの確保を最優先とし、同時に現状把握に着手します。
- 稼働中のIBM iバージョンとPowerモデルを特定し、それぞれの期限を確定させる
- 延長サポートの見積もりを取得する(延長期間ごとの費用差を必ず確認する)
- 基幹システム上で動いている業務・連携先・帳票を棚卸しする
この段階での棚卸しは、後の移行見積もりの精度を直接左右します。「何が動いているか分からない」状態のまま移行の見積もりを取ると、必ず後から追加費用が発生します。
期限まで1〜2年の場合
移行方式を決定し、部分的な着手が可能な時期です。
- 移行方式(リホスト/リライト/パッケージ導入など)を比較検討し、方針を決める
- 全面刷新ではなく、業務単位で分割して段階的に移行する計画を立てる
- ベンダーを選定し、詳細見積もりを取得する
期限まで2年以上ある場合
もっとも選択肢が広い状態です。この時期に着手できれば、業務要件の見直しまで含めた本質的な刷新が可能になります。
- 基幹システムに求める要件そのものを再定義する
- 移行を機に、属人化している業務や紙の運用も見直す
- 複数の移行方式を実際に評価し、比較したうえで決める
いずれの段階でも共通して言えるのは、最初にやるべきは「現状把握」であり、ベンダーへの相談ではないということです。自社の構成と期限を把握しないまま提案を受けると、その提案が妥当かどうかを判断できません。
よくある質問
Q. AS/400は2025年にサポート終了したのではないのですか?
A. いいえ。「2025年」という単一の期限は存在しません。混同されやすいのは経済産業省の『DXレポート』が示した「2025年の崖」ですが、これは特定製品のサポート終了日ではなく、日本のIT産業全体に対する警告です。IBM i の実際の期限はバージョンごとに設定されており、直近では2026年9月30日が重要な節目になります。
Q. サポートが終了すると、システムはすぐ止まりますか?
A. すぐに停止するわけではありません。サポート終了後もシステム自体は動き続けます。ただし、セキュリティ修正・不具合修正・部品交換・技術問い合わせが受けられなくなります。つまり「問題が起きるまでは動くが、起きたときに公式な回復手段がない」状態になります。基幹システムでこの状態を続けるリスクは、経営判断として評価すべき事項です。
Q. IBM i 7.4を使っています。まだ標準サポート中なので急がなくてよいですか?
A. 急ぐべき状況です。 IBM i 7.4の標準サポートは2026年9月30日で終了し、10月1日以降は有償の延長サポートに移行します。これまで追加費用なしで受けられていたサポートが有償になるため、予算計上のタイミングを逃すと、翌年度まで身動きが取れなくなる可能性があります。
Q. バージョンアップだけで対応できませんか?
A. 対応できるケースもあります。IBMはIBM iプラットフォーム自体の廃止を予定しておらず、7.5や7.6へバージョンアップすれば当面のサポートは確保できます。ただし、バージョンアップにはハードウェアの要件があり、古いPowerモデルでは新しいIBM iが動作しない場合があります。またバージョン間で廃止された機能があるため、既存アプリケーションの改修が必要になることもあります。OSとハードの両面から実現可能性を確認してください。
Q. まず何から手をつけるべきですか?
A. 自社の正確な構成把握です。具体的には、稼働中のIBM iのバージョン、Powerサーバーのマシンタイプとモデル、保守契約の内容と期限の4点を確定させてください。この情報がないと、延長サポートの見積もりも移行の見積もりも精度が出ません。多くの企業でこの情報がベンダー側にしかなく、社内で把握できていないのが実情です。
まとめ
本記事のポイントをまとめます。
- 「AS/400が2025年にサポート終了」という期限は存在しない。「2025年の崖」と製品サポート期限は別の話
- 2026年9月30日には、IBM i 7.3の延長サポート終了と7.4の標準サポート終了が同時に訪れる。 7.4ユーザーは特に見落としやすい
- IBMはIBM iプラットフォーム自体の廃止を予定していない。 終わるのは特定バージョンのサポートであり、プラットフォームごと捨てる必要があるとは限らない
- OSとハードウェアで期限は別。 Power8・Power9はモデル単位で保守終了日が異なるため、機種を特定して個別に確認する
- 移行は計画から本番稼働まで1〜3年。 多くの企業にとって現実的なのは「延長で期間を確保し、その間に移行を進める」組み合わせ
- 最初にやるべきは現状把握であって、ベンダーへの相談ではない。 バージョン・機種・契約・期限の4点を押さえてから動く
期限は「知った時点」から逆算が始まります。まだ2年あるのか、1年を切っているのかで打てる手はまったく変わります。自社の構成と期限を確定させることが、すべての判断の出発点です。
c3index に相談する
c3index は、製造業の基幹システム・保守・クラウド移行を専門とするシステム会社です。 AS/400(IBM i)の期限確認、延長と移行のどちらを選ぶべきかの判断、移行計画の策定まで、現状の棚卸しの段階からご相談を承っています。「まだ何も決まっていない」という状態でも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。